インドネシア
河川の氾濫や洪水等の発生を防ぐための浚渫※1用機材の調達と運転トレーニングの実施

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2015年1月19日

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右がバックホウ台船、左が土運船。組み立て、操作、解体の実習風景。バックホウですくった土砂を隣の土運船の土砂入れに積み運び出す。
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台船にバックホウを乗せ固定する。
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調達された日本製のロングアーム・バックホウ。河岸からアームを伸ばして浚渫するのに威力を発揮。

 インドネシア共和国では、近年気候変動による集中豪雨や局所豪雨などの異常降雨により河川の氾濫などの自然災害が多発し、都市部においては洪水による都市機能の低下、地方部においては農業生産への影響など、その市民生活や社会生産活動に大きな損害を及ぼしています。さらに、都市部への人口の集中も相まって、洪水被害が拡大しています。特に堆砂の進行等による河川の流水能力低下により、洪水リスクが高まっており、こうした流域への早急な浚渫対策が必要となっていました。インドネシア政府の要請を受け、日本政府は洪水災害発生時における関係機関の対応能力強化等を支援するため、2010年3月18日に浚渫に必要な機材などの調達やそれらの機材の運転トレーニング等に必要な10億円をインドネシア共和国政府に供与することを決定しました。

 このプロジェクトで、JICSはインドネシア政府と調達代理契約を交わし、インドネシア政府の代理人として河川の浚渫に必要なバックホウ、ロングアーム・バックホウ、バックホウ台船・土運船、FRPボート(引き船)、トレーラー、ラフテレーン・クレーン、多機能浚渫船、泥上掘削機、整備機材などの調達や、バックホウ台船・土運船の組み立て、操作、解体、運搬に係るOJTトレーニングの実施などを行いました。

 ほぼすべての機材が13箇所の河川事務所に届きつつあり、トレーニングも完了した、平成26年10月21日には、インドネシアバンテン州セラン県新パマラヤン堰にあるジャカルタの河川事務所所管のワークショップで、全ての調達機材の象徴としてロングアーム・バックホウの引渡し式が開催され、インドネシア公共事業省ムジアディ水資源総局長や谷ア泰明駐インドネシア日本国大使をはじめとして両国関係者が約100名出席しました。

 谷崎大使は調達された浚渫機材を活用した、インドネシア各地の河川の適切な維持管理と、洪水被害の軽減への期待など述べられました。また、ムジアディ水資源総局長は住民にとってより良い水環境実現に向けたこのプロジェクトの意義や日本政府に対する防災分野での協力に感謝の意を述べられると共に、流域事務所に対する重機の適切な維持・管理等の実施を指示されました。

 洪水発生が顕著な河川は、チリウン川流域(ジャカルタ)、チタラム川流域(バンドン)、及びブンガワン・ソロ川流域(ソロ)で、洪水被害の大きい都市部はジャカルタ首都圏、スマラン市、スラバヤ市およびチレボン市ですが、JICSはこれら地域の河川を所管する河川事務所に、それぞれの地形や河川環境に適合し、必要な機材を調達しました(対象地域位置図参照)。また、苛酷な環境で重機を取り扱うことから、特に組み立て式のバックホウ台船や浚渫した泥を運ぶ土運船について講習等を実施し、対象4事務所から安全講習には計60名、使用方法のOJTトレーニングには計30名のスタッフが参加し、皆、適切な安全管理や技術の習得に向けて、真剣に取り組みました。本プロジェクトにより、雨季に備えて洪水発生を未然に防ぐための浚渫能力向上、さらには災害発生時の被害軽減や、河川の適切な維持管理が期待されています。

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引渡し式にて。
ムジアディ水資源総局長(左から3人目)、谷崎大使(左から4人目)、JICSのプロジェクトマネージャー(右から3人目)。

※1 浚渫(しゅんせつ)・・・河川などの水深を深くするために、水底の土砂を掘削すること。

対象地域位置図

プロジェクト基礎情報

案件名 気候変動による自然災害対処能力向上計画
交換公文署名日 2010年3月18日
供与(E/N)額 10.00億円
調達代理契約 2011年2月25日
契約相手 公共事業省水資源総局
実施機関 公共事業省水資源総局
プロジェクト概要 洪水等の災害発生時における関係機関の対応能力強化を支援するため、バックホウ等の浚渫機材などの整備や機材の運転トレーニング等の実施により、災害発生時の被害軽減や、洪水発生を未然に防ぐための浚渫能力向上、河川の適切な維持管理などが期待される。
JICSの役割 本プロジェクトの調達代理機関として、機材納入契約の締結など必要なサービスの調達および資金管理を含むプロジェクト全体の監理を実施。
調達内容 ■機材:バックホウ、ロングアーム・バックホウ、FRPボート、バックホウ台船、土運船、トレーラー、ラフテレーン・クレーン、多機能浚渫船、泥上掘削機、整備機材
■技術支援:安全及びエンジニアリング講習、バックホウ台船・土運船による浚渫にかかるOJTトレーニング
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