JICS
Google

WWW を検索
www.jics.or.jpを検索
トップページ JICSについて 事業 調達 実績 トピックス スマトラ沖大地震およびインド洋津波災害への支援 イラク復興支援 アフガニスタン復興支援 カンボジア紛争予防・平和構築 パキスタン地震復興支援 オピニオン 採用 リンク集
オピニオン お問い合せ English サイトマップ 文字表示標準 文字表示縮小 文字表示拡大
TOPトピックスオピニオン

個々人が持つ経験の情報化・共有化を望む
松本 洋(財団法人国際文化会館 顧問・理事/JICS評議員会会長(2005年7月当時))

 1969年、OTCA(海外技術協力事業団)の短期派遣専門家としてADB(アジア開発銀行)で「東南アジア地域運輸調査」を担当するためにマニラに滞在した。それが私と開発途上国との関わりの始まりであった。その後10年間は(財)国際開発センターの主任研究員として、アジア、太平洋、中南米、中東、アフリカの58カ国のインフラストラクチャー調査にあたった。

 地域により、国により、また民族、部族により考え方、価値観は異なる。1977年、アフリカN国の調査に赴いたときの話。調査資料として現場の写真は欠かせないが、ほとんどの場所が撮影禁止である。そこで考えたのが、最高責任者からの許可証の入手であった。幸いにも陸軍参謀総長D将軍のアポイントが取れて陸軍省の門を潜ったまではよかった。しかし待合室で3時間待っても、当の参謀総長閣下の面会は実現しなかった。やっと執務室に招じ入れられて参謀総長閣下に逢えたとたん、彼の第一声は「お前はラッキーである。オレは将軍連中を待たせているが、ところで何の用だ」ときた。「貴国の経済インフラ調査のため写真撮影の許可をいただきたい」「お安いご用だ、すぐ手配する」「感謝します。ところで日本に興味はありますか」「まったくない」会見は2分で終わった。

 早速、許可証を内ポケットに入れて写真撮影禁止区域で撮影を始めると、どこからともなく近寄ってきた秘密警察2人に車に押し込まれて本部まで連行された。こちらが参謀総長のお墨付きなど持っているはずはないという先入観である。本物と確認されるまで2時間かかった。最後は「ソーリー」の一言。ほっとしたがその警官への見返しの気持ちがあり、本部建物をバックに貴官を1枚撮らせてくれと促すと、「ちょっと待て、たしかにこの許可証にはいかなる建物も撮影することを許すと明記されているが、本官は建物の一部ではない」とキッパリとはねつけられた。腹が立ったが見事であった。

 その後、この許可証は写真撮影だけでなく航空機の座席やホテルの部屋の確保にも大いに威力を発揮してくれた。これらの体験はあくまでも一例であり、地域によりまた時間の経過によってさまざまに変化するのであろうが、体験に基づいたその地域の人々の持つ価値観、生活感情への認識を理解してつきあう知恵は、専門分野での協力、生活分野での交流に大いに役立つものである。

 しかしこうした情報は、実際にはその専門家の属人的な蓄積に限られ、なかなか組織的な蓄積になるシステムが作られていないと思う。このIT時代、データバンク等のシステムを利用するなどして、有益な情報の汎用化を望みたい。

(「JICS REPORT」2005年7月号掲載文より)

(C) Copyright Japan International Cooperation System(JICS)2005 All Rights Reserved 
お問い合せサイトマップEnglish 文字表示縮小文字表示標準文字表示拡大