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JICS評議員・目黒依子上智大学教授の現地視察報告
TOP事業無償資金協力関連事業紛争予防・平和構築無償
カンボジア王国紛争予防・平和構築無償(平成14年度)
「カンボジア平和構築と包括的小型武器対策プログラム」現地視察報告
財団法人日本国際協力システム
評議員目黒依子(上智大学教授)
視察日程:2003年11月10日〜16日
視察地:プログラム対象州(バンテミンチェイ州、オダミンチェイ州、 シエリムアップ州)ほか
「カンボジアにおける平和構築と包括的小型武器対策プログラム」

日本政府によるカンボジア政府に対する無償資金協力の一つあり、カンボジアの平和構築を目的とする小型武器回収のためのプログラムです。実施内容は下記の通りです。
対象地:
バンテミンチェイ州、オダミンチェイ州、シエリムアップ州ほか
対象者:地域住民
内 容:
地域住民からの小型武器の自発的供出に対し、その対価としてコミュニティーへ開発を提供する など、小型武器対策 のための包括的プログラム
実施内容:
1. 自発的武器供出地域の希望に沿ったインフラ整備支援
2. カンボジア政府主催の武器破壊式典の支援
3. カンボジア政府による武器の管理・登録支援
4. 地域住民への武器供出のための啓発活動
  図
1.プログラム実施主体について
 日本人スタッフ4名、現地人スタッフ7名で構成される日本小型武器対策支援チーム(Japan Assistance Team for Small Arms Management in Cambodia、以下JSAC)は、本プログラムの4つの計画を分担しつつ、12ヶ月という短期間での活動の目標達成に向けて協力体制をとっている。各スタッフは、能力およびコミットメント共に高いという印象を受けた。タスクフォース的体制で実施するプログラムの成功例となる可能性の高いものとみられる。

2.ワークショップについて
 JSACによる地域でのワークショップは、地域住民(リーダー層)および警察関係者を対象とするもので、参加者には女性も5〜10%程度みられた。
  内容は4計画を包括するものであるが、特に、小型武器の自発的供出を促すインセンティブとしての対象地域の開発支援事業については、個人を超えたコミュニティーの利益という意識を醸成する段階から始める必要があり、現地スタッフと警察や地域指導者の関心の高さとその連携が鍵となるが、現在、順調に進捗しているとみられる。計画実施地域のJSACスタッフの経験・能力などが活用されていると思われる。
(写真)ワークショップ   (写真)ワークショップ
プログラム対象州のバンテミンチェイ州ミニットコミューンでのワークショップの様子  

3.警察の武器管理状況について
 視察先の警察の武器管理状況は、その物理的実態には大いに疑問がある。つまり、回収された武器を厳重に管理するような建物がないということにつきる。
  24時間警備体制をとっているというが、管理倉庫ないし小屋を破壊することは困難ではない。しかし、回収武器管理のための建物のみを作っても、安全管理に繋がるということにもならない。地域住民全体の平和意識に委ねられる要素が大きい。その関連で、シエムリアップの警察長官は、日本の交番制度の導入を希望しており、地域の平和構築の具体的方法論として一考に価すると思われる。
(写真)回収武器   (写真)回収武器 (写真)警察所有の武器
バンテミンチェイ州警察の倉庫に保管されている回収武器 バンテミンチェイ州警察の 倉庫で保管されている住民 から回収された武器 EUの援助で建設された倉庫に保管されている警察所有の武器
(写真)警察所有の武器   (写真)説明 (写真)視察
シエムリアップ州警察武器倉庫の警察所有の武器
JSACスタッフから回収武器について説明を受ける目黒評議員 EUの援助で建設された警察管理の武器保 管倉も視察

4.プログラム全体について
 短期間の視察ではあったが、JSAC本部および現地での状況視察および現地警察および行政指導者との懇談を通して、以下のような所感を得たのでそれを提言としたい。
 本プログラムの目的の重要性については異論のありようがない。また、その目的達成のための実施計画も妥当である。しかし、そのための活動期間が12ヶ月というのはあまりにも短期過ぎる。体制整備に要する時間を除く実質的活動期間内に当初の目的を達成することには無理がある。さらに、このような短期間のプロジェクトに従事するスタッフについては、将来の見通しが不安であるところから、その能力の十分な発揮に関しても考慮する必要がある。本プログラムは着実に成果を挙げているといえる。タスクフォース的体制での実施も、今後の支援プログラムのあり方の一つのモデルともなりうるものであり、これを成功に導くことが重要である。現段階で早急に、本プログラムの今後の継続のあり方について、方針を定めることが肝要であるといえる。

※JSACの活動内容についてはホームページをご覧ください。 日本小型武器対策支援チーム(JSAC)

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