国内勤務者リレーエッセイ No.17
住民参加型植林事業の植林イベントに参加しました
(インドネシア 「森林保全計画」)

業務第二部 川上 宣彦

 現在私がプロジェクトマネージャーとして携わっているインドネシアの「森林保全計画」は日本政府のODA(資金供与)による取り組みで、住民参加型植林や森林の管理に必要な森林調査用機材の調達を行っています。JICSはインドネシア政府と調達代理契約を交わし、資金管理も含めたこのプロジェクトのマネジメントを実施しています。

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苗床から生徒が一本ずつ苗木を持ち出す

 住民参加型植林は、このプロジェクトの最も大きな取り組みで、2014年12月から5年半かけて、インドネシア国内の下記の3つの国立公園内で実施されます。なんと、完了は東京オリンピックが開催される2020年の予定です。

以下、各公園での目標植林面積と目標植林本数です。

1 スンバ島のマヌペウ・タナ・ダル国立公園内
(目標植林面積:257.6ha目標植林本数:248,400本)

2 東部ジャワのブロモ・テンガル・スメルー国立公園内
(目標植林面積:111.5ha目標植林本数:150,900本)

3 西部ジャワのチレメイ山国立公園
(目標植林面積:60ha目標植林本数:81,000本)

 2015年5月から、それぞれの植林対象地で自生している木から種子を採取し、苗床で26万本を超える苗木を生産してきました。12月になり例年より2ヶ月も遅れたものの雨季を迎え、ようやく最初の植林を開始することになりました。

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パドモ公園所長(左)との挨拶。私(右)はインドネシアの正装であるバティックを着用して参加しました。

 環境・森林保護・山火事防止啓発活動の一環として、植林イベントを3公園で行うことになり、私は2015年12月17日にジャカルタから一番近いチレメイ山国立公園で開催されたイベントに参加しました。その時の様子をご紹介します。

 主催者側として、チレメイ山国立公園事務所のパドモ・ウィヨソ所長をはじめ公園事務所の職員の皆さん、本事業の技術支援コンサルタントとして統括している住友林業・国際緑化推進センター共同企業体の常駐監理者である曽田さんおよび現地スタッフの皆さん、地元の村長や警察署長などの来賓と地元の中学生約350人が参加し、総勢約400人の大々的なイベントとなりました。

 朝8時半、小雨で靄がかかる中、イベントはセレモニーで始まり、JICSも来賓として私が挨拶を行いました。まず現地語でサンプラスーン(Sampur asun:お早うございます)と挨拶し、通訳を介して、「森林保全計画」でどのような取り組みを行っているか説明しました。そして現在は火山由来の土壌による荒地であっても皆の協力で将来この地がすばらしい森になると確信していること、地元の小中学生の遊びの場、学びの場になると期待していることなどを話しました。最後は再び現地語で、アトゥール・ヌウーン(Atur nuhun:ありがとうございました)と締めくくりました。

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私の挨拶。隣の方は通訳(英語→インドネシア語)。
ご覧のとおり靄がかかり、チレメイ山の全貌は見えませんでした。

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私も植えました

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雨天に備えて設置したテント内で
公園スタッフから説明を受ける中学生たち

 参加された来賓者の挨拶の後、パドモ公園事務所長に続き、来賓者が順番に苗木を植え、中学生も1人1本ずつ苗木を植えました。私は、現地名でLame(ラテン語学名:Alstonia scholaris)という木の苗木を1本植えましたが、学名の「scholalis」から想像できるように、学校で使う家具や文房具の材料として使われるのだそうです。

 植林と同時進行で、20人の生徒が少し離れた場所から、植林作業の様子を描きました。昼になり生徒達がお弁当を食べている間に、私を含め審査員に指名されたメンバーが完成した絵を採点し、優秀者3名を選び、記念品の贈呈など行いました。

 子供たちに対する森林保護教育を兼ねたイベントでしたが、公園事務所の職員が漫談調の掛け合いで説明をするなど、子供たちを飽きさせない様々な工夫があり、和気あいあいとした雰囲気で行われ、子供たちにとって、これから成長する森は自分たちの作った森だという親しみが湧くのではないかと思いました。 

 参加者が皆会場を去った後、我々も帰途に着きましたが、植えた苗木がどうなっているか、あの土地がどうなっているのか、また現地を訪れて確かめたいと思います。

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植樹後の苗木と