ケニア西部ニャンザ州のニャンド川流域では、毎年雨季になると大規模な洪水が発生し、地域の経済成長や貧困削減を妨げる大きな要因となっています。2002年の「水法(Water Act)」施行後、ケニアでは「水灌漑省」や「水資源管理庁」の設置など、水資源管理体制の強化をはかっています。
一方で、気候変動に起因するとみられる近年の洪水の深刻な状況、また、水資源管理のための資金が不足しているケニアの財政状況を考慮し、日本政府は、ケニア政府の要請に基づき、2006年7月から2008年12月まで「ニャンド川流域統合洪水管理計画調査」を実施しました。
調査の結果、ニャンド県とキスム県の24村において特に洪水被害が甚大であると認められたことから、日本政府は、気候変動の影響に対して脆弱な途上国において必要な気候変動対応(適応策支援)のための支援を行う「環境プログラム無償資金協力」の実施を決定し、2009年5月19日に「気候変動への適応のためのニャンド川流域コミュニティ洪水対策計画」に関する交換公文を、ケニア政府との間で締結しました。
このプロジェクトは、上記2県の24村を対象とし、各村のニーズに応じて井戸、避難所、カルバート(道路下を横切る排水溝)、人道橋、堰などの洪水対策施設の整備を行うものです。あわせてコミュニティの洪水管理組織の設立、洪水管理訓練、防災教育、ポスターやラジオ放送による啓発活動も行う予定です。
JICSはこのプロジェクトに関して2009年6月3日にケニア国水灌漑省と調達代理契約を締結し、施設建設契約の締結など必要なサービスの調達および資金管理を含む案件全体の監理を行っています。