2012年7月17日、プロジェクト関係者が気温46度を超える灼熱のジェリコにおいて、太陽光発電システムの機能を一つ一つ確認しながら最終検査を行いました。その結果を受け、ラマダンを目前に控えた同19日、パレスチナ暫定自治政府・エネルギー・天然資源庁にて太陽光発電システムの引渡し署名が行われました。
パレスチナ暫定自治区はイスラエルの占領下にありますが、エネルギー資源に恵まれていないこの土地において、特にエネルギー問題はイスラエルの占領政策により、非常に厳しい状況におかれています。JICSは、日本国政府の実施する対パレスチナ向けノン・プロジェクト無償により、石油製品の調達を行っていますが、パレスチナは増加する電力需要に対応した費用の増大に非常に苦慮する状況が続いています。
本プロジェクトはパレスチナ暫定自治地区における初めての大規模な太陽光発電であり、パレスチナにとっては大きな可能性を秘めた第一歩となりました。また、本プロジェクトサイトは日本国政府が整備を促進している農産加工団地の一画に位置し、「平和と繁栄の回廊※1」構想及び再生可能エネルギーに係る日本国の取り組みを相乗的にアピールする、まさに日本国の対パレスチナ支援の顔となることが期待されています。
引渡し署名時に、施主であるパレスチナ暫定自治政府・エネルギー・天然資源庁長官補佐のジャマル・アブ・ゴッシュ氏は、このプロジェクトが太陽光発電システムに対する取り組みの大きな前進であるとして謝意を表されるとともに、今後、パレスチナにおけるより一層の再生可能エネルギーの発展を牽引して行く決意を示され、プロジェクト関係者の労をねぎらわれました。
※1:平和と繁栄の回廊:イスラエルとパレスチナの共存共栄に向けた日本の中長期的な取り組みのことで、パレスチナ、イスラエル、ヨルダン、日本の4者からなる協議体を立ち上げ、日本のODAを戦略的・機動的に活用しつつ、域内協力の具体化に取り組むことも含まれています。