人口約360万の人々が暮らす西アフリカの国リベリアは、北をギニア、西をシエラレオネ、東をコートジボワールに囲まれた、大西洋沿岸国です。111,370平方キロメートル(日本の約3分の1)の国土を有しており、首都モンロビアは潮風が香る熱帯気候に属しています。1989年から断続的に続いた内戦により、国家経済が疲弊し、農業分野もその発展に大きなダメージを受けましたが、2003年にリベリア政府側と反政府側との間で包括和平協定が結ばれた後は、復興への努力が続いています。
2007年2月、同国の復興への取り組み等をうけ、日本政府は停止していた二国間援助の再開を表明しました。これまで日本政府はリベリアに対し、2008年度、2010年度と二度にわたって食糧援助を行ってきましたが、同国の食糧事情をさらに改善するため、2011年11月14日、2012年度食糧援助で政府米の調達に必要となる無償資金の供与が決定されました。
JICSはリベリア政府と調達代理契約を締結し、同国政府の代理人として、一般競争入札を通じた米の調達や、適切なタイミングで確実に現地に米を届けるための納入監理及び資金監理を行っています。また船積みが実行された後には、案件の実施全般に係る報告と今後の課題や問題点について話し合うため、リベリア政府と日本政府との間で政府間協議が開催されます。この協議でJICSは事務局を務めることとなります。関係者間の連絡調整や情報共有を促し、案件がスムーズに進むよう働きかけることもJICSの重要な業務の一つです。
2010年度に関しては、2011年12月に政府米19,101トンが現地港に到着し、2012年1月から全国各地への配布が開始されました。配布された米は一般市場で販売され、同国の安定的な食糧供給に寄与することが期待されています。また売上金額は「見返り資金」として、リベリア政府の保有する口座に積み立てられ、この資金はリベリアの社会経済開発に資するプロジェクトに活用されます。現在、リベリアでは積み上がった見返り資金を活用して水稲プロジェクトが実施されており、将来的には国内の米生産能力を高め、市場への流通体制を改善・発展させることで同国の食糧事情を改善するべく、活動が続けられています。