櫻田前専務理事の後任として、2010年7月31日付で専務理事に就任いたしました。よろしくお願いいたします。
私は1976年に国際協力事業団(独立行政法人国際協力機構(JICA)の前身)に入団以来、農林水産分野の技術協力プロジェクトや、財務、企画等管理部門の業務を担当しました。この間、タイ、バングラデシュ、インドネシアの現場において技術協力、無償資金協力に携わって参りました。
今年の7月まで、JICAインドネシア事務所長として3年3か月の間、対インドネシアODAの最前線に身を置いて参りましたが、この度縁あって、JICSの専務理事として、引き続き国際協力の現場で仕事ができる機会をいただきましたことを、大変名誉に感じております。
インドネシアはわが国同様、地震および洪水に直面している自然災害多発国であり、特に地震対応では、JICSはアチェ、ジョクジャカルタにおける緊急支援、復興事業支援においてインドネシア政府の代理人として重要な役割を果たし、インドネシア政府からも高い評価を受けていると承知しております。
JICSは、皆様のご支援とご協力のもと、設立20年を経過しました。この間、JICSは国際協力の現場において多くの経験を重ねて参りましたが、ODAのニーズの変化に伴い、物資の調達業務からアフガニスタン、イラクの復興支援や、平和構築支援、さらにはコミュニティ開発支援など新しいタイプの事業にチャレンジしております。ODAや公益法人を取り巻く環境が厳しい中、これからも皆様のご指導を得つつ、専務理事として日本のODAおよび受益者のために、職員とともに一丸となって努力して参る所存です。
関係各位におかれましては、今後ともいっそうのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
財団法人 日本国際協力システム
専務理事 坂本 隆
2004年9月に就任し、5年11か月の間、専務理事を務めてまいりましたが、2010年7月30日をもって退任することとなりました。この間、関係者のみなさまをはじめ、多くの方々にJICSの活動をさまざまな形で支えていただきましたことを、心から感謝申し上げます。
就任当時のJICSは、それまでの機材調達に軸をおいた業務から、イラクおよびアフガニスタンの復興支援に関連して施工案件へのチャレンジを始めた時期でした。2004年の12月にはスマトラ沖地震およびインド洋津波が発生し、それによって被害を受けた地域への大型支援が開始されました。これら案件は、被災直後あるいは復興過程に特有の混乱が顕著だった中、厳しい治安情勢、時間的制約、さらには現地業者の能力不足など様々な制約要因もあり、予期せぬ事態や困難が連続する中での取り組みとなりました。
特に津波案件では、資機材の調達に加えて大規模な施設建設にかかる全体のマネジメントが求められ、更に現地リソースも活用して実施したという点で、それまでの日本の無償資金協力では見られない新しいチャレンジでもありました。この業務は複雑且つ困難を極めたものでしたが、このハードな経験やそこで蓄積できたノウハウを基に、2006年に創設されたコミュニティ開発支援無償および防災・災害復興支援無償、そして2008年に創設された環境プログラム無償における調達代理業務の受注・拡大につなげられたのだとも捉えています。
このような業務環境の激しい変化に追いつけるように、組織として切磋琢磨を継続するべく、調達業務の効率的な実施、業務品質の保持・向上や契約などコンプライアンスの取り組み強化などを目的としつつ、組織改編や人材育成にも取り組んできています。また、当財団の大きな目標である「国際的な調達機関」となるために、国際機関案件の受託において多少なりとも実績を積めたことは、今後のJICSの飛躍にあたり、一つの契機になり得るものと考えています。
一方で、JICSが組織として学び成長・向上していく余地はまだまだ多く、真に「国際的な調達機関」として確立するにも、取り組むべき課題はたくさんあります。昨年、設立20周年を迎えましたが、人で言えば成人式を迎えたばかりの時期にあります。これからの努力と研鑽により、関係者のみなさまが納得できる価値を提供し、その結果JICS設立当初より求められている役割・機能を全うしていくことで、JICSは真に社会に貢献し、認められるのだと信じています。
まだまだ組織として発展途上にありますが、引き続いて今後もみなさまよりご指導・ご支援を仰ぎつつ、時には叱咤激励を頂戴しつつ、JICSが世界に通用する調達専門機関として飛躍していくことを祈念しています。
櫻田 幸久