JICS職員、カメルーンで「貴族」になる

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2014年1月21日

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Banjong村の王様FON Asaahna II世とFONの称号をいただいた武井プロジェクトマネージャー

 アフリカ大陸の西側部分と南側部分がぶつかる部分にほぼ直角三角形の国土を持つカメルーン。海の近くには標高4,095mのカメルーン山がそびえ、この北東方向に2,000m級の山々が連なっています。そこは、赤道が近いにもかかわらず標高が高いため、年平均気温は23℃、朝晩は15℃前後まで下がり、ちょうど夏の信州の高原のような気候です。ジャガイモやキャベツなどの高原野菜の栽培が盛んな地域です。

 平成23年度カメルーン共和国コミュニティ開発支援無償「第5次小学校建設計画」は、こんな標高2,000m級の山々の麓にある17の小学校に対して、総計202教室、31校長室、24トイレ棟を建設するプロジェクトです。建設工事は2012年10月に着工され、1年後の2013年10月から完成した建物を順次カメルーン政府に引き渡しています。既存の小学校建物は、土を日干ししたレンガで建設されており、劣化して崩れ落ちそうな上、外光が入らず暗い教室です。机や椅子は相当の年代物です。一方、本計画で建設した建物は、鉄筋コンクリート造りで、壁は白いモルタル塗り、穴あきブロックを使った広い窓があり、外光が適度に入り、空気がこもることもありません。机と椅子はカメルーン特産の木材を使った無垢でがっしりしたものです。この新築の建物を見た小学生は素直に大喜びして、この喜びは児童の家族に伝わり、そして村全体に広がって行き、小学校建物の引渡し式は、まるで村のお祭りのようです。

BEFORE

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既存教室外観
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既存教室内部
↓

AFTER

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新教室外観
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新教室内部
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引渡し式、児童による歓迎コーラス

 2013年12月には7つの小学校で引渡し式を開催しました。このうち3つの小学校で思わぬ出来事がありました。引渡し式には村の王様(族長)と従者も参加していますが、式の途中、突然、プロジェクトマネージャー(JICS武井清隆)が呼ばれ、王様の従者から民族衣装を着せられ、王様本人からプロジェクトマネージャーに対し、現地の貴族の称号「FON」を授与することが式典参加者に高らかに宣言されたのです。新たに貴族になった日本人が民族衣装を着て王様と一緒に会場を歩くと、式典に参加している老若男女は大喜びです。引渡し式は最高に盛り上がりました。

 この貴族の称号授与は、美しい小学校を建設してくれた日本のODAに対する村人の感謝の気持ちが象徴化されたものだと思います。プロジェクトマネージャーは、上記と同様の形で、3つの村(Menka, Buchi及びBanjong)で別々の王様から貴族の称号「FON」をいただきました。貴族の称号の授与は、この地方の最高級の感謝の表現方法と思われます。カメルーンから日本の皆様に、ODAに対する村人のこの感謝の気持ちをお伝えします。

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引渡し式会場を歩く王様、従者、武井プロジェクトマネージャー

プロジェクト基礎情報

案件名 第五次小学校建設計画
供与(E/N)額 9.66億円
交換公文(E/N)署名日 2011年7月19日
贈与契約(G/A)署名日 2011年7月19日
調達代理契約(A/A)日 2011年9月9日
契約相手(調達代理契約) 初等教育省
プロジェクト概要 北西州の17サイトの31小学校に、202教室、31校長室、24トイレ棟を建設及び教室家具の調達
JICSの役割 調達代理機関として、建設および家具納入会社の選定、調達資金の管理ならびにプロジェクト全体監理
調達品目 教室、校長室及びトイレ棟(建設)および教室家具
プロジェクトの主な流れ/現状 2012年1月 設計・施工監理コンサルタントと契約
2012年7月 施工会社と契約
2012年11月 家具納入会社と契約
2012年10月 施工開始
2013年10月から、完成サイト毎に、順次引渡し開始
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