ベトナム カマウ省森林火災跡地コミュニティ開発支援計画
終了式典が行われました

2011年5月9日

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式典の様子
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木工加工工場の視察
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植林後のエンバンクメント(森林改良地)では人の背丈を越える高さのメラルーカが育っている

 ベトナム国コミュニティ開発支援無償「カマウ省森林火災跡地コミュニティ開発支援計画」による、追加調達分を含む全ての機材・施設の引き渡しが2011年1月末に終了したことを受け、4月6日、これを祝う式典がカマウ省地方人民委員会にて開催されました。現地は雨季の始まる時期であり、天気が心配されましたが、幸い当日は晴天に恵まれ、式典にはカマウ省地方人民委員会議長、在ベトナム日本国大使、JICAベトナム事務所長など多くの関係者が出席しました。同式典では、カマウ省地方人民委員会議長より、日本の援助に対する感謝の言葉とともに、3月11日に発生した東日本大震災の犠牲者に対するお悔やみの言葉が述べられました。

 このプロジェクトの対象となったウミンハ地区は、ベトナム国内でも最貧州のひとつであるカマウ省の中でも、特に貧しい地域といわれています。本プロジェクトでは、住民生活レベルの向上を目的とし、36ヶ所のサイトにおける、森林改良、水路、道路、橋、医療施設、教育施設などのインフラ整備、および26ヶ所のサイトへの建設機械、木材加工機、医療機材の調達など幅広い分野での支援を実施してきました。
JICSはカマウ省地方人民委員会 農業農村開発局の調達代理機関として、プロジェクトを実施するために必要な役務や機材の調達、資金管理およびプロジェクト監理を担当してきました。JICSが関わるコミュニティ開発支援無償案件では初めての「マルチコンポーネント型」案件であり、幅広い分野にまたがる多様な支援内容や、水路を1時間以上かけて移動しなくてはならないようなサイトの立地条件などから、案件の実施には多くの困難をともないましたが、一つ一つに粘り強く対応することで、無事にプロジェクトが完了し、今回の式典を迎えることができました。
式典のあと、出席者はボートにて水路を移動し、木工加工工場向けの調達機材をはじめ、森林火災監視タワーおよびステーション、エンバンクメントや郡病院の医療機材といった本プロジェクトのサイトを視察して回りました。

 なお、ベトナムでは、東日本大震災の後、同国首相の呼びかけで、公務員をはじめとする多くの方が一日分の給料を目安に寄付をする運動が起きました。式典に参加した本プロジェクト関係者からも、寄付をしたという話が多く聞かれました。それほど今回の大震災の被害が強烈な印象を与えたのでしょう。また、これまで日本がODAや経済活動などを通じて、ベトナムを援助してきたことも、彼らの行動につながったのではないかと考えられ、改めて先人の努力に敬意と感謝の気持ちを抱かずにはいられませんでした。

プロジェクト基礎情報

供与(E/N)額 9.05億円
契約相手 ベトナム国カマウ省地方人民委員会 農業農村開発局
プロジェクト概要 森林火災の発生などにより生活が不安定であり、ベトナム国内でも最貧困地域のひとつとされるカマウ省ウミンハ地区の復旧、開発・貧困削減のため、森林改良、インフラ整備などを行うことで、コミュニティ全体の生計向上を目指す。
JICSの役割 本プロジェクトの調達代理機関として、本プロジェクト推進に必要な役務や機材の調達、資金管理及びプロジェクト監理を担当する。
調達品目 林地改良、水路、道路、橋、医療施設、教育施設などのインフラ整備および建設機械、木材加工機、病院機材の調達など
プロジェクトの主な流れ/現状 【施設建設(全26ロット)】
2008年8月 設計コンサルタント2社と契約、設計調査開始
2009年3月 施工監理コンサルタントと契約
2009年6月〜7月 施工会社7社と契約、順次工事開始
2010年9月 全施工コンポーネントの引渡し完了
【機材調達(全8ロット)】
2008年11月〜2009年3月 機材供給会社7社と契約、機材整備開始
2009年3月〜7月 機材引渡し、調達完了
【機材追加調達(全4ロット)】
2010年3月、10月、11月 機材供給会社4社と契約、追加機材整備開始
2011年1月 機材引渡し、調達完了