ASEAN Senior Officials Meeting on Health Developmentで
日・ASEAN統合基金鳥インフルエンザ対策支援プロジェクトの
プレゼンテーションを実施 〜今後に向けて〜

2013年11月15日

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JICSによるプレゼンテーション

 8月26日から28日にシンガポールにおいて、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国保健省の幹部及びWHO(世界保健機関)やASEAN事務局、UN(国連)等の関係国際機関から約100名が参加し、開催された第8回ASEAN Senior Officials Meeting on Health Development(SOMHD:健康開発ハイレベル会合)の公開会議の場で、ASEAN事務局の要請により、2006年4月から実施している日・ASEAN統合基金鳥インフルエンザ対策支援プロジェクトの背景、内容、そして成果について、JICSはプレゼンテーションを行いました。説明後には、各国から質問が寄せられ、このプロジェクトへの高い関心が伺えました。

 プロジェクト開始当時、高病原性H5N1鳥インフルエンザの脅威が世界に広がる中、特に東南アジア地域はウィルスのヒトからヒトへの感染が発生する可能性が最も高い地域と言われており、その脅威に直面するASEAN地域を支援するため、本プロジェクトは始動しました。プロジェクトでは、100万人分の抗ウィルス薬(タミフル及びリレンザ)と70万人分のマスクやガウンなどの個人防護用品(PPE)を調達し、その半数を地域の備蓄としてシンガポールに保管し、残りの半分をASEAN10ヵ国に事前配備として分配しました。備蓄の目的は、ASEAN地域で鳥インフルエンザのヒト-ヒト感染が確認され、パンデミック※1となりうる状況が発生した場合、早期封じ込め(Rapid Containment)※2オペレーションで活用するためです。JICSはASEAN事務局のエージェントとして、備蓄品の調達と管理を行うとともに、早期封じ込めオペレーションが行われることになった場合には、WHO西太平洋事務局(以下WPRO)の指示の下、ASEAN事務局や各国の保健省と連携し、備蓄品を緊急輸送する重要な役割を担っていました。

 備蓄と並ぶ本プロジェクトのもう1つの重要な柱は、早期封じ込めに係るキャパシティ・ビルディング(能力育成)です。プロジェクトはワークショップや演習を通じて、ASEAN各国の早期封じ込めへの理解を促進し、ASEAN地域のインフルエンザ・パンデミックに対する準備・対応の体制強化に貢献しました。こうしたプロジェクトの支援の成果は、今後もASEAN地域におけるインフルエンザ・パンデミック対策の更なる強化へとつながっていくことでしょう。

 本プロジェクトで確立した早期封じ込めにおける備蓄品緊急輸送の体制と、ASEAN事務局やWPRO、ASEAN各国の保健省との連携は、もう1つの備蓄プロジェクトであるASEF(アジア欧州財団)日本信託基金新型インフルエンザ対策支援プロジェクトに引き継がれています。このプロジェクトでは50万人分の備蓄品をシンガポールに備えており、早期封じ込めオペレーションが実施されることになった際にはJICSが備蓄品を緊急輸送することになっています。JICSは、これからも適切な備蓄品の管理に努めることはもちろん、これまでに築いた関係者との連携を維持し、緊急時に対応できるよう努めていきます。

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第8回ASEAN Senior Officials Meeting on Health Development
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ASEAN各国とパートナー団体の関係者が多数参加

※1パンデミック:感染症等の世界的大流行

※2早期封じ込め(Rapid Containment):パンデミックとなる可能性のあるインフルエンザ発生時に、感染拡大の阻止を目的として行う臨時(緊急)の公衆衛生活動のこと。内容は抗ウィルス薬等の投入・使用だけでなく、人の移動制限や情報提供など多岐にわたる。

プロジェクト基礎情報

プロジェクト名 日・ASEAN統合基金鳥インフルエンザ対策支援
決定日 2006年3月27日
プロジェクト実施額 35億円
調達監理契約 2006年4月28日ASEAN事務局と実施監理契約を締結
プロジェクト概要 鳥インフルエンザのヒト−ヒト感染が発生する可能性が高いと見られているASEAN地域のために、抗インフルエンザウイルス薬および感染防止備品(PPE)等の調達・備蓄、ならびにヒト−ヒト感染発生時にそれらの緊急放出を実施
JICSの役割 本プロジェクトの実施代理人として、調達、備蓄、引渡式・セミナーの開催、緊急放出オペレーション、資金管理を実施

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