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No.24「穏やかで優しく、時に激しいマリの人々」(JICS REPORT2012年4月号)
 橋本 清香 業務第一部 施設第三課

(写真)
ドライバーと一緒に

 西アフリカに位置するマリ共和国の首都バマコの昼下がりは、ロバが闊歩する中、トラックの下で昼寝をする人々がごろごろしています。気温が高く、保存が利かないため、買った野菜や果物は新鮮なうちに食べる、という毎日です。マリは、「庶民の味」ほど美味しく、自然な風味に慣れると、日本の加工食品が食べられなくなるほど、食生活については極上の観があります。

 マリは、穏やかで優しい人が多いのですが、時間などの約束はあてにならないことも多く、日本人の想像を絶するところがあります。例えば、電気工事。資金問題が解決したと思いきや、「ケーブルがありません」。ケーブルが届くと「規格違いでした。発注し直します」。やっと規格どおりのケーブルが届くと「ケーブル高架の停電は土曜日にやるものだから週末まで待ってください」。土曜日になると「停電許可が取れていませんでした。月曜にやります」。月曜になると「前払い使用料が支払われていないから工事できません」。前払い使用料金について1週間かけ話がまとまると「ケーブルが配電盤まで延びていないので、メーターを設置できません」。そして「メーターの在庫がありません」といった具合です。いつになったら電気が来るのか、待つしかないということもあります。

 マリで暮らしていると、お金持ちが収入を自分の懐に入れてしまい、使用人に賃金を支払わない、という事態によく遭遇します。そんな状況に嫌気が差して、「外国で働きたい」と考える人も大勢いるようですが、ビザ取得の問題など現実は厳しいようです。したがって、日本人とは比較にならないほど、人々のお金に対する渇望が凄まじく、友情だと思っていたら金銭的な見返りを求められてがっかりさせられ、さらにその要求がエスカレートしてうんざりということもあります。また、お金の受け取り方も悲しいほどに激しくて、この土地を経済的に潤すのは、途方もなく大変だという気がしています。

 とはいえ、エネルギーあふれる人々に囲まれて、私はマリへ来て、より人間の本質を見つめられるようになった気がします。日本に帰ったら、マリの人々の素朴な優しさが懐かしくて、胸にぽっかり穴が空くことになるだろうな、と感じる毎日です。

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No.23「4泊5日のプレスツアーと草の根無償」(JICS REPORT2012年1月号)
 北村 義典 在エチオピア日本国大使館書記官(出向中)

(写真)
引渡し式で橋の周りに集まった、何千人もの住民

 今回、ご紹介するのは、支援の手が届かないと思われる地域でも、日本政府は着実に支援を実施しているという事例です。

 2011年11月中旬、大使や当地の大手メディアの記者と共に、4泊5日のプレスツアーに出かけました。行き先は、南部諸民族州の南オモ県。ケニア・南スーダンと国境を接し、中央政府からの支援もあまり届かない秘境です。今回の目的は、メディアの方々に日本の草の根無償案件を紹介し、その良さを理解してもらうことです。

 首都アディスアベバ出発から3日目にようやく今回のメインのサイトに到着。この案件は、南オモ県の県都ジンカから40km山奥に入ったウバマールという村の近くを流れるサラ川に橋を架けるものです。今までサラ川には橋はなく、住民や家畜は幅10mほどの川を歩いて渡るほかありませんでした。雨季には増水し、毎年、何人・何頭もの命が流されていたとのことです。ここはエチオピア東部の干ばつ地域とは違い、とても雨の多い地域です。

 サラ川到着の間近になると、道を行く人々の数がだんだん増えてきました。新設された橋付近でわれわれを待ち受けていたのは、総勢1万人にも上る住民でした。今まで、さまざまな引渡し式に出席してきましたが、これほどの人々が集まったのは初めての経験です。いかに住民が橋の建設に感謝しているかがわかります。ウバマール村での式典の後、近隣の村々を訪問し、過去の草の根案件(学校や農業研修所の建設、道路補修など)を視察しましたが、どの村でも大歓迎を受けました。

 プレスツアーの最終日前夜、大使とメディアの意見交換会が行われ、メディアの次の言葉がとても印象的でした。「これまで、日本国大使館から頻繁に草の根案件の引渡し式や署名式のプレスリリースを受け取ってきたが、案件の金額が小さいので内容をよく読んでいなかった。今回のツアーで、小額であっても草の根無償は効果の高いプロジェクトであることがわかり、感動した。これからは、プレスリリースをよく読むようにしたい」

 アディスアベバに帰郷後、連日のようにテレビ・新聞でプレスツアーの報道がなされたのは、言うまでもありません。

※ 草の根無償:正式には、草の根・人間の安全保障無償資金協力。1件あたりの供与額は一般的に1,000万円が上限。

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No.22「オルロのカーニバルでレッツ・ダンス!」(JICS REPORT2011年10月号)
 中村 陽子 在ボリビア日本国大使館 出向中

(写真)
ティンクを踊りながら練り歩く女性たち

 ボリビア・オルロのカーニバルは南米3大カーニバルの一つで、ユネスコの無形文化遺産代表一覧表に登録され、わが国もユネスコ無形文化遺産保護日本信託基金を通じて支援を行っています。カーニバルは毎年2 〜 3月頃に開かれ、開催期間中はボリビア各地はもとより、世界中から観光客が訪れます。

 カーニバルの踊りはボリビア先住民の伝統を色濃く残しているものが多く、さまざまな種類があります。衣装は高価なものもあり、カーニバルで着るために1年間働いているボリビア人もいるとか。カーニバルは土曜日と日曜日の2日間にわたって行われ、1日目はソカボンの聖母に捧げるために踊り、2日目は自らのために踊ります。踊りはバスのターミナル近くから始まり、オルロ市のメーン通りを抜け、市庁舎および県庁舎のある広場で大観衆の中を進み、テレビの生放送が行われているソカボン広場にたどり着き、坂道を登ってソカボン教会まで5〜6時間かけて踊り続けます(もちろん休憩もありますが)。ソカボンの聖母に願掛けして、3年間踊ると願いが叶うといわれています。

 私は2009年のカーニバルから、ティンクという踊りを踊っています。ティンクとは、ボリビアの最貧困地域の一つであるポトシ県北部の踊りです。男性は皮のヘルメットのような帽子を持ち、女性は羽の付いた帽子をかぶって踊ります。オルロのほかにも首都ラパスで行われるグラン・ポデールや大学が主催するウニベルシタリア、コチャバンバ市でのコルソ・デ・コルソなどのお祭りに参加しました。日本の経済協力やボリビアに貢献している日系人のおかげで日本びいきのボリビア人が多いため、踊っていると「一緒に写真を撮って」とよく写真を撮られます。3年連続してオルロのカーニバルで踊りましたが、願いは未だに叶いません。

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No.21「パキスタンとインド、クリケットで因縁の対決!」(JICS REPORT2011年8月号)
 名木田 朋幸 JICAパキスタン事務所 出向中

(写真)
クリケット・ワールドカップは、ICC(国際クリケット評議会)が主催

 2011年3月30日午後。多くのパキスタン人の熱い眼差しが、テレビモニターに注がれていました。視線の先には、インドのワンケード・スタジアムで、パキスタンのクリケット代表チームの選手たちが躍動する姿がありました。

 2011年は、4年に一度行われるクリケット・ワールドカップの開催年にあたります。10回目の今大会は、栄冠を目指して全14チームが、2月中旬の予選ラウンドから長きにわたる戦いを繰り広げてきました。

 クリケットは、英国と、かつてその支配が及んだ国々を中心に人気を博しているスポーツで、パキスタンでは国民的スポーツともいうべき存在です。そのワールドカップで、3大会ぶりに準決勝まで駒を進め、準決勝の対戦相手は色々な意味でライバル視されるインド。これで盛り上がるなというのが無理な話です。

 今回のインド戦にあたり、パキスタンのギラニ首相は観戦のためにインドを訪問。また、パキスタン政府は急遽、試合当日の午後を休日とすることを発表しました。パキスタンにとって、これが単なるスポーツの試合ではなかったことを物語ります。私が勤めている事務所の現地職員の多くも、試合当日は朝から「心ここにあらず」状態で、午後は休暇を取得して、そそくさと帰宅の途につきました。

 さて、肝心の結果はというと、260対231でインドの勝利。インドは、決勝でもスリランカを破り、7大会ぶり2度目の優勝を果たしました。一方、敗れたパキスタンでは、残念ながら試合の翌日が勝利を祝う休日になることもなく、何事もなかったかのように普段と同じ生活に戻りました……。

 次回のワールドカップは2015年。開催地は、オーストラリアとニュージーランドです。果たして、どのようなドラマが生まれるのでしょうか?

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