今回、ご紹介するのは、支援の手が届かないと思われる地域でも、日本政府は着実に支援を実施しているという事例です。
2011年11月中旬、大使や当地の大手メディアの記者と共に、4泊5日のプレスツアーに出かけました。行き先は、南部諸民族州の南オモ県。ケニア・南スーダンと国境を接し、中央政府からの支援もあまり届かない秘境です。今回の目的は、メディアの方々に日本の草の根無償案件を紹介し、その良さを理解してもらうことです。
首都アディスアベバ出発から3日目にようやく今回のメインのサイトに到着。この案件は、南オモ県の県都ジンカから40km山奥に入ったウバマールという村の近くを流れるサラ川に橋を架けるものです。今までサラ川には橋はなく、住民や家畜は幅10mほどの川を歩いて渡るほかありませんでした。雨季には増水し、毎年、何人・何頭もの命が流されていたとのことです。ここはエチオピア東部の干ばつ地域とは違い、とても雨の多い地域です。
サラ川到着の間近になると、道を行く人々の数がだんだん増えてきました。新設された橋付近でわれわれを待ち受けていたのは、総勢1万人にも上る住民でした。今まで、さまざまな引渡し式に出席してきましたが、これほどの人々が集まったのは初めての経験です。いかに住民が橋の建設に感謝しているかがわかります。ウバマール村での式典の後、近隣の村々を訪問し、過去の草の根案件(学校や農業研修所の建設、道路補修など)を視察しましたが、どの村でも大歓迎を受けました。
プレスツアーの最終日前夜、大使とメディアの意見交換会が行われ、メディアの次の言葉がとても印象的でした。「これまで、日本国大使館から頻繁に草の根案件の引渡し式や署名式のプレスリリースを受け取ってきたが、案件の金額が小さいので内容をよく読んでいなかった。今回のツアーで、小額であっても草の根無償は効果の高いプロジェクトであることがわかり、感動した。これからは、プレスリリースをよく読むようにしたい」
アディスアベバに帰郷後、連日のようにテレビ・新聞でプレスツアーの報道がなされたのは、言うまでもありません。
※ 草の根無償:正式には、草の根・人間の安全保障無償資金協力。1件あたりの供与額は一般的に1,000万円が上限。