カメルーン
来日研修を未来に活かす「森林保全計画」の試み

カメルーン地図へ

2013年4月25日

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北海道富良野の東京大学演習林にて。
なぜこの木が伐採木として選定されたかを
検証しています。


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十勝総合林業組合の森林伐採現場にて。
高性能林業機械を利用した現場を視察しました。


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岐阜県庁にて。
GISを活用した森林整備計画づくりについて
説明を受けました。

 アフリカ中部に位置するカメルーンの東南部には、アフリカで最も歴史が古いとされる、樹高50m以上の巨木が生い茂る原生林が広がり、豊かな動植物相を擁しています。しかし、現在カメルーンの森林は減少傾向にあり、この森林資源を守るための対策が急務となっています。

 日本政府は「森林保全計画」(環境プログラム無償資金協力)により、カメルーンに対し、森林資源データの収集や整備に関する機材調達及び技術支援のための資金協力を実施し、近年気候変動対策として国際的に取り組まれている、森林の減少・劣化による二酸化炭素排出の削減等を目指したREDD+※1へのカメルーンの参加を支援しています。

 この技術支援事業の一環として、2013年1月から2月に、カメルーンの森林政策を担う4人の担当官が来日し、研修を受けました。

 豊かな森林を持つカメルーンでは、林業が主要産業の一つです。しかし、現在のカメルーンの林業では、伐採エリア、伐採樹種、伐採本数について最低限のルールが定められているものの、持続可能な森林経営※2や森林保全にまでは目が向けられていません。そこで今回来日した研修生に、日本の大規模保護林の管理や森林認証※3、高密路網※4と高性能林業機械※5を活用した持続可能な森林経営等を視察してもらい、カメルーンでの今後のREDD+活動に繋がる持続可能な森林経営のアイディアを得てもらうこととしました。

 研修では上記に加え、地域の人々を巻き込んだ森林管理や、現在だけでなく将来を見据えた森づくり計画、1本の木を伐採することに対して行われる多方面からの環境アセスメント、伐採だけでなく、その土地で製材、加工することにより木材の付加価値を高め、また地域の雇用を増やして林業によって経済を活性化させる取り組み等を視察しました。これらの取り組みはカメルーンでは現在行われておりませんが、今後これらの取り組みを応用し、カメルーンに適用していくことが可能です。このため、研修生からも沢山の質問が発され、熱心な意見交換がなされました。

 研修生は、森林の持続的経営に繋がる取り組みが実際に行われている現場を見たことで、森林の持続的経営が単なる理想論ではなく、実現可能なものであるという実感を得たようです。

 森林政策担当官が得た知識や経験が、海を越え、カメルーンの豊かな森林の持続的管理に活かされるよう期待しています。

※1REDD+(レッドプラス):Reduced Emissions from Deforestation and forest Degradation plusの略(途上国の森林減少・劣化による温室効果ガスの排出量削減等)。国連気候変動枠組条約(UNFCC)締結国会議(COP)で議論されている温暖化防止メカニズム。

※2森林経営:木材生産や非木材林産物の収穫等の経済的活動や、経済目的以外の水源涵養、国土保全、景観維持等のための森林の手入れ。ある目的を持って森林で行われる事業全体のこと。

※3森林認証:独立した第三者機関が、特定の基準や指標を基に森林が持続的に管理されているかどうかなどを評価し認証する制度。

※4高密路網:森林内に高密度で作業道を敷く事。これによって木材の搬出コストを抑えることが可能になるが、山への負担を最小限にし、安全を確保した作業道を敷設するには経験や技術が必要となる。

※5高性能林業機械:1990年代に入って普及してきた新しい林業機械で、省力化や労働安全性の向上が期待できる。主な高性能林業機械としては、プロセッサ、フェラーバンチャ、スキッダ、ハーベスタ、フォワーダ、タワーヤーダ等がある。
例)プロセッサ…伐採した木の枝を払い、丸太にして、さらにその丸太を一定の長さに切り揃える機械。作業員がチェーンソーで枝を払い、その丸太を一定の長さに切り揃えると15分以上かかるが、プロセッサを使用すると2〜3分で行うことができる。

文章協力:株式会社パスコ一般社団法人 海外林業コンサルタンツ協会 共同企業体

プロジェクト基礎情報

案件名 森林保全計画
供与(E/N)額 8.00億円
交換公文署名日 2010年3月17日
調達代理契約日 2010年6月2日
契約相手 カメルーン共和国経済・計画・国土整備省
実施機関 カメルーン共和国経済・計画・国土整備省
プロジェクト概要 国際的気候変動対策支援の一環として、全国資源インベントリの実施に必要な機材や衛星画像を供与するとともに技術支援を実施することにより、カメルーンの森林保全体制の強化を支援することを目的とする。
JICSの役割 本案件の調達代理機関として、必要な機材・サービスの調達及び資金管理を含む、案件全体の監理を実施する。
調達内容(品目) ■機材
・GIS・RSデータ処理解析用機材及びソフトウェア
・森林調査用機材
・車輌
・衛星画像
・航空写真
■技術支援
・衛星画像解析
・航空写真解析
・森林資源調査
・バイオマス調査
・REDD専門家育成(訪日研修を含む)
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