日本の高機能・高品質な医療・保健機材を世界各地へ!
〜ODAの戦略的な取組みに調達代理機関として携わっています〜

2015年1月6日

活躍中の医療・保健機材
スリランカ
(写真)
コロンボの病院に設置されたCTスキャナー

(写真)
カルピティヤの病院で活躍している血液透析器

パキスタン
(写真)

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ラホールの病院で使用されている
一般病棟用ベッド(上)とICUベッド(下)

 今回は、2012年度に日本の政府開発援助(ODA)で開始された、新興国・途上国に対する日本の優れた医療・保健機材の調達により、現地の保健・医療分野での改善や発展を支援し、さらに現地で「ジャパンブランド」を確立し日本製品普及を目指す取組み「日本方式普及ノン・プロジェクト無償資金協力(医療・保健パッケージ)※1」で、JICSが担っている役割をご紹介します。

 JICSはこの取組みで、途上国・新興国政府の代理人(調達代理機関※2)となり、途上国が必要としている日本製の医療・保健機材の調達や援助された資金の管理を行っています。すでにスリランカやパキスタンではCTスキャナー、血液透析器、医療用ベッドなどが活躍しています。

 この取組みを含めて、ODAの中でも「ノン・プロジェクト無償資金協力※3」と呼ばれる事業では、日本政府からの資金援助が決定した時点で調達する物や数量などは決定していません。援助の決定後、JICSは被援助国政府と調達代理契約を交わし、関係機関への聴取や協議を通じて現地のニーズを確認し、その要望に合う機材の種類や機能など詳細について被援助国政府と協議を行います。そしてどのような機材を購入するのか決定した後、その詳細を記した仕様書など入札に必要な書類を作成し、入札を経て機材の納入会社を決定します。その後、納入までのスケジュールなども含めたプロジェクト監理もJICSが担当します。

 「日本方式普及ノン・プロジェクト無償資金協力(医療・保健パッケージ)」の場合、調達するものを「日本の医療機材・保健機材」に限定していますが、機材を使用する国や地域によっては、必ずしも最新機材がベストとは限らないことに留意しなくてはいけません。現地の電力事情やコスト、メンテナンスについても詳しく調べ、継続的に使用し、維持管理できる機材を調達することが重要です。

 また、機材とはいえCTスキャナーなど大掛かりなものは、施設改装を行った上で、設置するケースがあります。その搬入のために病院の患者さんに迷惑や不便をかけるわけにいかないので、機材の納入会社や工事を行う会社、現地の政府担当者、病院担当者の方々とスケジュールの綿密な調整を行うこともJICS(調達代理機関)の大切な業務です。さらに、機材によっては設置に公的機関の許可や、使用者のトレーニングが必要なケースもあり、JICSはその調整も行っています。

 調達された機材を使用している病院からは、感謝や機材に対する賞賛の言葉をいただいており、日本製品の品質に対する信頼は大変大きいと感じています。またこの事業については日本の医療機材メーカーの関心も高く、お問い合わせも多数いただいています。

 JICSでは、この取組みが、現地の医療・保健環境の向上と、企業の海外進出の1ステップに繋がることを願いながら、プロジェクトに全力で取り組んでいます。

※1日本方式普及ノン・プロジェクト無償資金協力(医療・保健パッケージ):この事業が開始された2012年度には「医療機材ノン・プロジェクト無償資金協力」という名称でしたが、2013年度より日本方式普及ノン・プロジェクト無償資金協力(医療・保健パッケージ)に変更されています。

※2 調達代理機関:調達代理機関は、各国政府、国際機関等が実施する開発援助、災害復興支援等の国際協力事業において、被援助国政府との契約(調達代理契約)に基づき、被援助国に成り代わり、入札手続き、売買契約、進捗管理、支払い等、一連の調達手続きを実施する組織を指しています。日本政府が実施する開発援助(ODA)の場合、そのルールに沿って実施する必要があり、専門的な知識や経験のほかに、公平性、競争性、透明性なども求められています。

※3 ノン・プロジェクト無償資金協力:ノン・プロジェクト無償資金協力は、貧困削減などの経済社会開発を実施している開発途上国等を支援するため、開発途上国に国外から資機材などを購入する資金を供与する無償資金協力です。支援決定の段階では、具体的な支援内容の詳細が確定していないのが特徴で、途上国のニーズや他ドナーとの調整を踏まえ、調達品目を柔軟に選定できる、自由度の高い支援です。
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