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モルドバ共和国 貧困農民支援(2KR)見返り資金活用の成功例に学ぶ
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 〜より効果的な援助を目指して〜

2008年2月4日

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調達された農業機械

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トラクターを購入した農家。トラクターには「from the people of Japan(日本国民より)」と書かれた国旗入りのステッカーが貼られています

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プロジェクト事務所(PIU)。正面には「2KR JAPONIA-MOLDOVA(日本-モルドバ)」と書かれたマークが掲げられています

 モルドバ共和国は旧ソビエト連邦共和国を構成していた国のひとつで、ウクライナとルーマニアの間に位置しています。1991年の旧ソ連崩壊以降、エネルギーや物資の供給が絶たれたために経済が混乱し、紛争や災害なども相次ぎ、たいへん困窮していました。農業、観光業以外に目立った産業がなく、経済的に非常に厳しい状況が続いています。農産物の収穫量は減少傾向で、農業機械が老朽化しても新しく購入することができず、農地を放棄してしまう農家も多くありました。
 このような状況を受け、日本政府は同国の低迷した農業の再生と生産性の安定に向けた努力を支援するために、2000年に食糧増産援助(2KR・現在は貧困農民支援)を開始しました。JICSは、同国政府が農業機械を購入する際の手続きを実施する調達代理機関として、これまでに6回にわたってトラクターやコンバインなどの農業機械を調達しました。

 2KRの案件では、より高い援助効果を得るために、調達した機材の販売代金を積み立て(見返り資金)、活用することが被援助国に義務づけられていますが、モルドバ共和国では、この方法で特に大きな成功を収めることができました。
 最初に調達、納入されたトラクター累計296台を国内で販売し、そうして得た資金でさらに新たなトラクターを調達、再びそれを販売。このように調達と販売を繰り返すことで、2005年までに、当初調達した数の約6倍にも及ぶ1,700台のトラクターを、さらにコンバインを含むその他の農機を含めると計2,135台もの農機を調達することができました。日本が行った援助がいわば「起爆剤」となり、調達と販売のサイクルにより資金がうまく回転するしくみが形成されたとして、日本の支援に対する感謝の声が多く聞かれています。
 これらの農機については、モルドバ共和国の農業食品産業省によって設立されたプロジェクト事務所(PIU)が農機販売先の募集と選考、売上金の積み立てに加え、農機のメンテナンスや修理のワークショップを開催するなど、援助効果をより維持させるための活動を行っています。2007年10月に開催された農業機械の展示会「MOLDAGROTECH」では、これまでの国内における農業機械化への貢献を評価され、PIUがグランプリを受賞しました。

 援助は一時的なものではなく、相手国の将来をともに考えて、効果が持続するように配慮することが必要です。そして何よりも、相手国の事情に即した援助を実践していくことが求められます。
 この、モルドバ共和国の資金サイクルの成功例をより拡大できるよう、今後もJICSはサポートしていきます。

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PIUのワークショップ風景。
トラクターの整備をしています
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PIUの活動が認められ農業機械の展示会でグランプリを受賞しました
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