2009年7月28日

肥料の引渡し
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ニカラグア共和国は、約13万平方キロメートルの国土(北海道と九州をあわせたくらいの面積)に約510万人が暮らす中米に位置する国です。主要産業は農業ですが大部分が降雨に大きく依存する天水農業であるため、生産量が不安定で、国内の需要に対して不足する食糧を海外からの輸入や食糧援助に依存している状態です。このような中、日本は同国の要請に基づき、主要作物の栽培に必要な肥料を調達するための資金を供与する貧困農民支援を1989年より実施しており、JICSはその調達代理業務を担っています。特にここ数年は、エルニーニョ現象などの影響を受け生産量が減少しており、貧困対策および食糧安全保障の必要性が高まっています。
日本の貧困農民支援により調達された肥料は、小規模農家を主な対象として販売され、トウモロコシ、米、赤インゲン豆といった主要食物の増産と、これを栽培する小規模農家の生活レベルの向上に大きく寄与しています。
また、貧困農民支援においては、援助資金により被援助国が購入した資機材の販売代金を「見返り資金」として積み立てることが義務付けられています。この見返り資金は、日本政府と協議のうえ、被援助国の社会経済発展のために活用することができるため、恒常的に予算不足にあるニカラグア政府にとって貴重な資金源となっています。同国政府は資金の積立に熱心に取り組んでおり、それを用いて農業生産性の向上や、農村と市場を結ぶ道路整備などを目的として多くのプロジェクトが実施されてきました。
貧困農民支援により調達された肥料、そしてその販売代金を積み立てた「見返り資金」はともに、ニカラグアの人々の生活向上に役立てられています。 |