2008年9月12日

研修に参加したオペレーターのみなさん

熱心に講義に聞き入る参加者

耕地での実習も行いました |
アフリカ南部に位置するスワジランドは、17万4000平方キロメートルの国土(四国より少し小さい面積)に約110万人が暮らす内陸国です。労働人口の3割が農業に従事していますが、ここ数年の干ばつなどによる主食のトウモロコシの生産量減少や、40%という高いエイズ罹患率による人手不足などから、深刻な食糧不足が懸念されています。
スワジランドの農業協同組合省では、トラクターの貸し出しを行うなど、農業機械を活用した農繁期の人手不足の解消に努めつつ、農地面積の拡大によるトウモロコシの増産を図っています。しかし、前述のエイズの問題により、トラクターの取り扱いに慣れているオペレーターやメンテナンスの知識がある整備士を確保することが難しく、農業機械を継続的に活用することができない状況でした。
このような事情を受け、日本政府はスワジランドに対し、トラクターの調達を目的とした貧困農民支援(2KR)を実施しており、JICSはそれらの調達代理業務を行ってきました。
2003年度には、ソフトコンポーネント(ソフト面の支援)として日本人専門家を現地に派遣し、日本製のトラクターを対象とした技術研修を行い、参加したオペレーターや整備士だけではなく、スワジランド政府からも高い評価を受けました。
この実績をふまえ、スワジランド政府から、2005年度の2KR案件の一環として、過去に調達したトラクターのうち約8割を占めるイタリア製のトラクターに関する技術研修の実施に対する強い要望がありました。これを受けて、オペレーターと整備士の技術レベルのより一層の向上と、先の研修の効果の拡充を図るために、2008年6月23日から3週間にわたって技術研修を行い、農業協同組合省のオペレーター32名と整備士15名が参加しました。
この研修では、スワジランドにあるイタリアトラクターメーカーの現地代理店の協力を得て、同社の現職オペレーターと現職整備士が講師を務めました。すべての講義および実習をスワジランドの現地の言葉(シスワティ語)で行なったところ、活発な質問が飛び交い、研修参加者から好評を得ました。
人手不足に悩むスワジランドの農業にとって、農業協同組合省からのトラクター貸し出しは不可欠です。また、トラクターが適切に継続的使用できるように整備されることがとても重要です。今回の技術研修により、オペレーターと整備士の技術レベルの維持、向上が図られたことで、農業機械がより有効活用されることが期待されます。 |