タジキスタンは、アフガニスタン、中国、キルギス、ウズベキスタンに囲まれた内陸国です。ソ連崩壊に伴い、1991年に独立を果たしましたが、同時にそれまで集団農場体制下で整備されてきた農業機械サービスや灌漑設備、農業技術普及システムなどが破綻し、農産物の生産性が著しく低下することで、2003年には全就労人口の67%を占める農民の65%が貧困状態に陥りました(出所:"Poverty Reduction Strategy of the Republic of Tajikistan for 2010-2012")。
日本はタジキスタンに対して、主要食用作物の増産に必要な農業機械および肥料を調達するための資金を供与する貧困農民支援(旧食糧増産援助)を2010年度に実施しました(タジキスタン向けには農業機械のみを調達)。JICSは、同国との契約に基づき、本援助に関する調達代理業務を行っています。
2011年10月、2011年度の貧困農民支援の実施の是非を検討するため調査団がタジキスタンを訪問し、2010年度のプロジェクトで納入した農業機械が適正に利用されているかなどを調査しました。
<担当者のコメント>
タジキスタンは、自然が厳しいからか風景が美しく、首都のドゥシャンベから車で30分程度の山々も急峻で荘厳でした。調査では14の農場を訪ねましたが(供与した農場の約1/4)、どこも農業機械を丁寧に使っており、また、自分たちが使わない日は近所の農場に貸し出すなどの工夫をしていました。引き続き日本の支援により調達された農業機械が有効活用され、タジキスタンの人たちのため役に立つことを願いながら、帰国の途につきました。