2008年9月24日

サイクロン「シドル」によって倒された木々

サイクロンシェルターの完成イメージ
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バングラデシュは、14万4,000平方キロメートルの国土(北海道の1.8倍)に約1億4,000万人が暮らしています。ガンジス川、ブラフマプトラ川、メグナ川によって形成された世界最大の三角州(デルタ地帯)に位置し、国土のほとんどが海抜9メートル以下の低地にあります。雨期になると国土の2割が水没し、冠水・洪水で多大な被害を受けるため、災害対策は国家の重要課題となっています。
2007年11月15日から16日にかけてバングラデシュ南西部を襲った巨大サイクロン「シドル」は、死者3,363名、行方不明者871名、被災者約892万人、全壊家屋が約56万戸という甚大な被害をもたらしました。このサイクロン「シドル」の被害に対して、日本はテント、毛布、浄水器などの緊急援助物資の供与と、国際機関を通じた緊急無償資金協力および有償資金協力(円借款)を実施しています。
過去最大級といわれるサイクロン「シドル」により、国内64県のうち30県で被害を受けたと報告されています。特に大きな被害を受けたポトゥアカリ、ボルグナ、ピロジプール、バゲルハットの4県では、サイクロンシェルター数が不足しており、多数の住民が避難できなかったことが明らかになっています。そのためバングラデシュ政府は、日本政府に対し無償資金協力による多目的サイクロンシェルターの建設を要請し、日本は「サイクロン『シドル』被災地域多目的サイクロンシェルター建設計画」として、9億5,800万円の防災・災害復興支援無償資金協力を行うことを決め、2008年6月9日に両国間で交換公文が締結されました。これを受け、JICSは6月17日に先方実施機関と調達代理契約を結びました。
本計画では、上述した4県に対し新たに36か所のサイクロンシェルターを建設する予定です。この計画により、災害時には約61,000人の避難が可能となります。また、これらのシェルターは平常時には学校として利用される予定です。災害対策に加え、教育環境の改善という点でもサイクロンシェルターの建設は期待を集めています。 |