2009年9月30日に西スマトラ州パダン沖でマグニチュード7.6(アメリカ地質調査所発表)の地震が発生し、死者1,100人を超える大きな被害が生じたことを受け、翌10月1日に日本政府は国際緊急援助隊の派遣や、テント・毛布・発電機などの緊急援助物資の供与を決定しました。緊急援助物資は10月4日にパダン空港に到着し、インドネシア政府を通して被災者に配布されました。一方、国際緊急援助隊・救助チームは10月1日から8日まで、医療チームも同じく10月1日から14日まで派遣され、被災者の救助活動および医療活動に従事しました。
救助および医療活動が一段落した後、インドネシア政府からの要請を受け、日本政府は復旧・復興のための支援として、2010年3月18日に「インドネシア共和国 西スマトラ州パダン沖地震被災地域における安全な学校再建計画」の実施を決定しました。この案件は地震によって被災した学校を、耐震性を備えた安全な学校として再建するもので、JICSはインドネシア国国家防災庁(BNPB)の調達代理機関として、援助資金の管理、案件の実施に必要となる役務や機材の選定・契約、納入管理などを含む案件全体の監理を行っています。この案件では、当初小学校6校、中学校3校を建設する予定でしたが、入札による競争性が想定より強く働いた結果、残余の援助資金が生じたため、不足する小学校をさらに1校建設する予定です。本案件により、被災地の児童・生徒に安全で良好な学習環境を提供するとともに、学校を周辺住民の災害時の避難所・防災拠点として整備することで、災害に強い地域復興に寄与することが期待されています。
2011年7月現在、当初予定されていた学校合計9校のうち7校は完成し、インドネシア側に引き渡され、既に1600人以上の生徒達に勉強のために使用され始めました。残る2中学校についても今秋には完成の予定で、1,450人以上が新しい教室で勉強を進めることができるようになります。
7月初旬、本案件で建設したパダンパリアマン第一中学校から、今年の3月11日に発生した東日本大震災に対する義捐金の拠出の申し出の連絡を受けました。同校では、先生が中心となり日本への義捐金を募ったところ、先生や生徒達とその保護者、さらには地域コミュニティの人達が募金に協力してくれたとのことで、数日間で現地としては高額な5,238,000ルピア(日本円5万円相当)が集まりました。連絡を受けたJICSスタッフが橋渡し役となり、同校の副校長先生から義捐金を預かり、7月15日に在インドネシア日本国大使館島田公使のもとへ届けることができました。