2008年8月11日
人類化石の分析作業の様子。既存の顕微鏡が使用されているが、数が不足している。また、国際的な研究レベルに対応するために、より精度の高い顕微鏡が必要とされている。
化石を保存・研究するための施設。背後に見えるのは建設中の新しい研究棟群。 |
エチオピアは、推定100〜560万年前の人類化石をはじめとする古生物化石が多く出土しており、世界有数の古生物化石の宝庫として世界中から注目されています。
特にエチオピア国立博物館には、アワッシュ川下流域で発見された、「人類の祖先」と呼ばれる約320万年前の古代人類の化石「ルーシー」をはじめ、国内で出土した世界遺産級の化石や美術品が展示され、年間約10万人が訪れています。また博物館の研究者は、日本をはじめとする海外の研究者と共同で化石発掘作業や研究活動を行うなど、国際的な学術振興にも寄与しています。
しかし、化石を保存・研究する建物や設備は、耐震・耐火構造を持たないうえに老朽化が著しく、貴重な出土品を保管するには適切な環境とはいえない状況でした。
そこで博物館は建物の改修に着手し、2008年夏から新しい研究棟群で活動を始めることを目指して準備を進めています。このためエチオピア政府は日本政府に対して、重要化石を保存する堅牢な保管庫、日本の技術が生かされた顕微鏡やデジタルマイクロスコープ、研究成果を発表するプレゼンテーション機材などを購入するために文化無償資金協力を要請しました。 JICSは外務省との委託契約により、2007年8月に「エチオピア国立博物館人類化石関連機材整備計画」の現地調査を実施し、博物館の活動や当時建設中だった施設の工事状況の確認、機材選定のための情報収集などを行いました。この調査結果に基づき、2008年6月9日、文化無償の実施が二国間で合意されました。
今後、JICSは必要な機材を調達するため、入札図書の作成、入札会の開催や評価などの入札補助業務を行い、エチオピアの貴重な人類化石の保管、研究をサポートしていきます。 |