アフリカ南部に位置するマラウイは、1人当たりの国民総所得が250ドル程度と低く、サハラ砂漠以南の地域にある国々の中でも貧しい国のひとつです。社会インフラもあまり発達しておらず、国民に必要な情報を知らせるためのテレビやラジオなどの普及も遅れているため、同国では、国民への情報提供の手段の確立が課題となっています。
この課題に対する取り組みのひとつとして、マラウイ警察音楽隊による演奏活動が行われています。マラウイ警察音楽隊は、1939年の設立以来、国内外で幅広い音楽活動を行っており、多くの国民から親しまれています。隊員たちは、さまざまな公式行事において演奏を行うほか、関係機関などからの要請を受けてHIV/AIDS予防、ジェンダー教育、児童の虐待防止、犯罪予防、交通規則の知識の普及など、社会的な啓発イベントへの地域住民の参加を促すために、楽器を演奏しながら町中を練り歩き、人々を呼び集める活動も行っています。
しかし、彼らが使用している楽器は、すでに耐用年数も経過しているうえに使用頻度も高く、経年劣化により不具合が生じているものがほとんどです。隊員たちはそれらの楽器を小まめに点検し、必要に応じて修繕して大切に使用していますが、音質の劣化を免れることはできません。
このような状況を受け、2008年、同国から日本政府に対して、マラウイ警察音楽隊の活動に必要な楽器の整備のための援助の要請がありました。この要請を受けて日本政府は、同国に調査団を派遣することを決定し、JICSは外務省の委託を受け、2009年12月に要請器材の必要性・楽器の種類・数量などの調査を行いました。この調査の結果に基づき2010年、日本とマラウイとの間で「マラウイ警察楽器整備計画」の実施が決定されました。
このプロジェクトの実施に関してJICSは、マラウイ政府との間で資機材の調達監理業務に係る契約を結び、2011年7月14日、入札会を開催しました。入札会立会いのためマラウイの駐日特命全権大使であるルベン・ングウェンヤ准将がJICSを来訪し、仲谷理事長と会談しました。
このプロジェクトの実施によって、音楽隊のパフォーマンス能力が向上し、演奏活動がより活発に行われるようになることが期待されています。JICSは、新しい器材をできるだけ早く届けることができるよう、本プロジェクト実施のサポートに取り組んでいきます。