2009年5月29日
起工式に出席する関係者一行を出迎える児童
スピーチを行う大使
モニュメントにモルタルを塗りこむ大使と大臣
モニュメントの前で握手を交わす大使と大臣
幼初等教育省プロジェクトコーディネーターとJICS職員 |
ベナン政府は2003年に「教育基本法」と「貧困削減戦略文書(PRSP)」を公布し、教育問題を重点目標のひとつに掲げ、就学率の向上、教育の質の改善、男女間・地域間格差の解消などの取り組みをした結果、同国における就学率は2005年時点で94%に改善しました。
しかしながら急激な児童数の増加により、教室不足・教室内の児童の過密化など教育環境の改善が必要となってきています。同国政府は、「教育分野開発10か年計画(PDDSE)」(2006〜2015年)を策定し、国家予算の23%を投じてこの問題に取り組んでいますが、目標達成のための予算が不十分であることから、学校教室建設等に必要な資金のための無償資金協力を日本に要請してきました。
これまで日本は同国の教育問題に対し、学校教室建設に対する一般無償を実施し、134校516教室を建設してきましたが、今回の「第4次小学校建設計画」は現地仕様・設計を導入し現地業者・資機材を活用するコミュニティ開発支援無償の枠組みで実施されることが決定しました。
2007年12月5日に日本政府とベナン政府との間で交換公文が締結され、クフォ県、ズー県、コリーヌ県およびウエメ県ダンボ市における小学校57校275教室の建設と、教室用備品の整備等に必要な資金の供与が決定しました。
JICSは2008年1月4日にベナン国幼初等教育省と調達代理契約を結び、このプロジェクトに必要な役務や機材の調達業務およびプロジェクト監理を担当しています。
2009年4月28日、プロジェクト対象校のひとつであるコリーヌ県カムアヌデC校で起工式が開催され、児童1,500人、招待客150人が出席しました。ベナン側からはジョゼフ・アアアンゾ行政・制度改革大臣が、日本側からは在コートジボワール日本大使館の岡村善文ベナン大使が出席し、両国の国旗を手にした児童たちの出迎えを受けました。
岡村大使はスピーチで、「日本は、子どもや教育が国の発展の原動力になると考えていますが、それはベナンも同じ考えだと確信しています。このプロジェクトを通じて両国、そして日本とアフリカが協力を続けていくという固い決意を表明します」と述べました。これに対し、アアアンゾ大臣は日本の支援に対する謝意を表し、次のように述べました。
「我が国のヤイ大統領は、2006年の就任後、就学前・初等教育の無償化を実現するとともに、6,000教室の建設プログラムを実施しました。しかし、これはベナン一国のみで達成できるものではありません。パートナー国に達成のための援助を依頼し、その依頼に日本が応えてくれました。ヤイ大統領に代わり、岡村大使をはじめ、すべての日本国民に心から感謝を申し上げます」
スピーチの後、大使と大臣はモニュメントにモルタルを塗る儀式を行いました。ベナンでは、土台の上に石を置き、その周りをモルタルで塗りこむ作業を行うことが、起工式での慣例となっています。これをフランス語で、「pose de la première pierre(最初の石を置く)」といいます。大使と大臣、そして関係者が次々とモルタルを塗りこんでいき、工事開始を祝いました。
また、児童たちによる歌やダンスの披露、大使への民族衣装のプレゼントなども行われ、起工式は非常に盛り上がりました。はじめは恥ずかしそうにしていた児童たちも、起工式後の大使や関係者の帰り際には笑顔で大きく手を振って見送ってくれました。
2009年5月現在、プロジェクト対象地域では順次工事が始まり、学校建設が進んでいます。JICSはすべての工事が無事に終えられるよう、現地業者と協力してプロジェクトの監理を行っていきます。 |