ブータン王国は北を中国、南をインドに囲まれた東部ヒマラヤに位置する内陸の国です。チベット仏教を国教とし、独自の文化・価値観を大切にしており、経済的な発展だけではなく「国民総幸福量(Gross National Happiness)」の増加を政策の中心と位置づけていることでも有名な国です。
ブータンでは近年、初等教育の普及に伴う中等教育の就学需要の拡大のため、既存施設が過密化し、中等教育施設の整備が緊急の課題となっていました。こうした背景のもと、コミュニティ開発支援無償によりカブジサ校(プナカ県)では中等学校施設が増築され、ポプジカ校(ワンディ県)、パクシカ校(チュカ県)では中等学校施設が新設されました。これにより、新たに2,016人分の教室が確保されるとともに学習環境が大幅に改善されることとなりました。
JICSは2008年に首都ティンプーにプロジェクトオフィスを設置し、ブータン政府との調達代理契約に基づき、コンサルタント及び施工会社等の選定のほか、資金管理を含むプロジェクト全体の調達代理業務を行ってきました。
雨季に土砂崩れが発生しアクセス路が分断されたり、冬季には降雪により工事に困難が伴うこともしばしばありましたが、日本・ブータン双方の関係者のチームワークにより、スケジュール通りに全ての建設工事と学校用家具の納入を完了することができました。
プロジェクトの完了を記念し、2011年2月にカブジサ校、4月にポプジカ校、5月にパクシカ校において引渡し式典が開催されました。式典では生徒たちのブータン伝統舞踊の披露があったほか、仏教様式による開校の儀式が行われました。
JICSは独自の支援事業として、完成した各校にプロジェクターとコンピューターを贈呈しました。今回建設された学校が、生徒たちの学習環境の改善につながると共に、周辺地域の発展に役立つことを願っています。