2010年7月20日
屋外で行われる授業の様子
建設現場で進捗状況をチェックするJICSスタッフ
施工会社関係者との打ち合わせ
完成した学校校舎と搬入前の学習家具
新しい校舎の絵と日本への手紙を書く生徒たち |
ボリビアは、南米大陸のほぼ中心に位置する内陸国です。一人当たりのGNIは、1.651ドル(2009年国家統計局)と、南米諸国の中では最も低い水準にあります。
ボリビア政府は、貧困を克服するための手段として教育分野の改善に力を入れており、さまざまな教育改革に取り組んでいますが、学校施設の不足や老朽化が深刻となっており、教室が手狭なため生徒が過密した状態での授業や、校庭などの屋外での授業を余儀なくされていてる学校もあるなど、学習環境の改善が課題となっています。
このような背景を受け、ボリビア国政府から日本政府に対して、学校施設の新設、増設のための支援の要請があり、2008年3月、両国政府間でコミュニティ開発支援無償「ポトシ市及びスクレ市教育施設建設計画」の実施が合意されました。
JICSは、このプロジェクトに関して、2008年4月にボリビア国教育省と調達代理契約を締結し、スクレ市にプロジェクトオフィスを設置のうえ調達業務を行っています。
本件は、ボリビア国南部のポトシ市及びスクレ市に各15校、合計30校の小中学校教室棟やトイレなどの施設を建設するものです。JICSは、ボリビア国教育省やスクレ市及びポトシ市、在ボリビア日本大使館、独立行政法人国際協力機構(JICA)などのプロジェクト関係者と調整を行いながら、プロジェクト資金の管理、施設建設に必要な設計・施工監理コンサルタントや建設会社などの選定と契約、そして案件を円滑に進めるための進捗管理を含めた総合的なマネジメントを行っています。
プロジェクトの実施にあたっては、古い校舎の取り壊しや整地作業に、生徒の父母たちが積極的に協力してくれた現場もありました。また、ある建設現場では、エル・ニーニョ現象のために4か月に渡って近くを流れる川が増水し、道が寸断され資機材の搬入ができず工事が中断するといった、予測不可能な問題が発生したこともありました。しかし、本件による学校建設に高い期待を寄せている住民たちからの声に後押しされるように、コンサルタントや建設会社の関係者も、工事が遅れを取り戻すために作業を急いでくれました。
このように、多くの人々の協力を得ながら工事を続けてきた本プロジェクトも、一部の学校施設の工事が完了し、2010年5月、相手国へ引渡しを行いました。
引渡しの際には、JICS独自のプロジェクト支援事業として、「地理学習に役立つものを」という学校側の要望をもとに、地球儀を贈呈しました。まだ工事を続けている他の学校に対しても同様に竣工後の引渡しの際に地球儀を贈呈する予定です。
今回引渡しを行った学校のひとつであるスクレ市のオバンド小学校では、5年生の生徒たちが新しく建設された校舎の絵と手紙を書いて、日本の支援に対する感謝の気持ちを表してくれました。
また、同じく今回引き渡しを行ったスクレ市のモンテアグド小中高等校では、新校舎での記念すべき第一回目の授業としてJICS職員に社会科の授業の一環として話をしてほしいとの依頼があり、本プロジェクトのプロジェクトマネージャーを務めるJICS職員が講義を行いました。講義ではまず日本の文化や経済などについて説明を行った後、ワークショップ形式で「スクレ市フライドチキン店の店長になる」というテーマのもと、グループごとに店の場所の検討や売り上げに関する計算について話し合い、発表しました。生徒たちからは、「商売がさまざまな要素で成り立っていることが理解できた」「将来、起業することに興味がわいた」などの感想が聞かれました。
ボリビアの将来を担う生徒たちの学習環境改善のため、JICSは引き続き、本プロジェクト完了に向けて努めていきます。
校舎引渡しの際にJICSプロジェクト支援事業として地球儀を贈与した |
JICS職員が講師をつとめた社会科の授業の様子。グループで話し合う生徒たち |
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