サハラ砂漠の南に位置する内陸国ブルキナファソでは、基礎教育セクターの開発を最重要課題の一つと位置づけ、2000年に「基礎教育開発10カ年計画」を策定し、実施してきました。2007年には、それまでの評価に基づき、当初の計画を修正する形で2008〜2010年度の目標を定めた「基礎教育開発計画10カ年計画フェーズ2(PDDEB II)」を策定し、初等教育就学率の向上、公立小学校教員の養成、初等教員養成校の建設など、初等教育環境の整備に力を入れて取り組んでいます。
その結果、2000年に44.3%だった初等教育就学率が2007年には72.5%と上昇しましたが、就学児童数の急速な増加にともない、教員不足が深刻な問題となっています。
そのため同国では、初等教員養成校における教員養成課程を従来の2年間から1年間に短縮するとともに、教室以外の施設も教室に転用し、学生の受け入れ拡大などを行ってきました。
しかし、受け入れ可能な学生数を超えて行う教員養成は、養成校における教育の質の低下を招きかねないとの懸念が広がっています。
なかでも同国北部のサヘル州には、現在、初等教員養成校がないため、同地方の教員確保や地域事情に精通した教員の養成が困難な状況にあります。そのため、同国より日本に対して、サヘル州における初等教員養成校およびそれに併設する小学校の建設要請がなされ、2009年7月13日、ブルキナファソ政府と日本政府の間でコミュニティ開発支援無償による「サヘル地方初等教員養成校建設計画」の実施が決定されました。
JICSは2009年9月3日、ブルキナファソ政府と調達代理契約を締結し、同国政府の代理人として、このプロジェクトの実施に必要となる資機材の調達や建設会社の選定などを行っています。
このプロジェクトでは、現在は空き地となっている約50ヘクタールの土地に、教室棟、寄宿舎棟などの建設と、それぞれの施設に必要となる設備や機材の整備を行う予定です。
また、新たな初等教員養成校にあたって、今後その運用が適切に行われるよう、ソフトコンポーネントへの支援として、他の同様な既存施設の維持管理運営方法や財務管理について調査を行い、簡易マニュアル類を作成のうえ研修やセミナーも実施する予定です。
2009年9月の調達代理契約締結後、JICSは現地にプロジェクトオフィスを設置し、順次建設会社の選定手続きを実施してきました。今般、いよいよ教員養成校の建設工事が始まることを受け、2010年2月25日に起工式が行われました。
起工式には、ブルキナファソ側からはテルティウス・ゾンゴ首相をはじめとする政府関係者や教育関係者が、日本側からは杉浦在ブルキナファソ日本大使、森谷JICAブルキナファソ事務所長、JICSプロジェクト担当者らが出席しました。式では出席者に対してJICSより本プロジェクトの説明がされた後、楽団の演奏や記念植樹が行われたほか、日本側出席者にブルキナファソのメディア関係者による取材も行われ、後日同国内で報道されました。
2011年9月に始まる新学期からの運用を目指し、JICSは先方政府関係者と協力しながらプロジェクトが円滑に進むようサポートをしていきます。