人口約2,390万人のガーナは、債務救済と緊縮財政により1人あたりのGNIは670ドル(2008年現在)となっていますが、インフレ率が2008年12月に18%を記録するなど、厳しい経済状況が続いています。
ガーナの主要輸出品は、第1位がチョコレートの原料であるカカオ、そして金、木材と続きます。製造業がほとんど発展していないことから、農業や鉱業に依存した典型的な一次産品依存型経済となっており、例えば、シャンプーや石鹸などの生活必需品であっても輸入に頼らざるを得ず、そのことが物価の高さにつながっています。
一次産品依存型の経済では国際市況や天候の影響を大きく受けやすいため、このような状況からの脱却を目指し、「人的資源の開発」を国家の優先課題としています。
近年、ガーナの総就学率は大きく向上していますが、その一方で地域間の格差が広がっている状況です。そのためガーナ政府は、全国138郡を順位付けして下位53郡を貧困郡と定義し、これらの地域の就学率等の向上を目標としています。
このような状況のもと、ガーナから日本に支援の要請があり、2009年8月、両国政府間で「基礎教育機会改善計画」の実施が決定されました。
このプロジェクトでは全体を2つに分け、第一期はセントラル州、第二期はノーザン州において、合計37校の小中学校教室棟(教室、教員室、倉庫付校長室など)、教員用宿舎棟、トイレなどの建設と教育家具の調達を行います。
JICSはこのプロジェクトに関して、2009年10月13日、ガーナ教育省と調達代理契約を締結し、首都アクラにプロジェクトオフィスを設置し、家具調達、施設建設のための調達手続きとこれらの資金管理、そしてすべてを含めた案件全体の進捗管理を行っています。
セントラル州の16校については建設工事契約を締結のうえ、工事を開始しており、2010年5月現在、おもにこれらの学校に設置する家具の調達手続きを行っています。家具の調達においては、現地の学校に適した仕様(スペック)や数量を相手国の教育省と協議のうえ決定し、入札図書を作成、入札手続きを行い、家具の納入会社を選定します。その際、現地の家具製造会社の製造可能数量を適切に入札図書に反映させるため、実際に複数の家具工場を視察し、製造能力を確認するなどしました。
また、ノーザン州21校の施設建設に関する入札準備についても近日中に開始する予定です。
このプロジェクトによって、より多くの子どもに基礎教育の機会が与えられることが期待されています。JICSは引き続きこのプロジェクトが計画通りに実施され、目的を達成するよう、効率的なマネジメントに努めていきます。