2009年4月21日
アフリカ南東部に位置し、インド洋に浮かぶマダガスカルは、人口1,960万人が暮らす島国です。近年、初等教育の普及により児童数が大幅に増加しましたが、これに対して教室数の不足が続いています。小学校1校あたりの教室数は全5学年に対して全国平均で3.2教室と少なく、教室不足から二部授業や複式学級の実施を余儀なくされています。また、毎年のように襲来するサイクロンにより建物に損傷を受けても十分に修復が行われていない校舎もあり、既存の教室の老朽化も進んでいる状態です。
このような状況から2004年8月に、マダガスカル政府は日本政府に対して同国北東部のアンツィラナナ州と南西部のトリアラ州を対象に仮設教室および老朽化した既存教室の建替えと新規教室の建設に係る無償資金協力を要請しました。
これを受けて、独立行政法人国際協力機構(JICA)が行った予備調査(2005年12月)と概略設計調査(2006年8月)をもとに、2007年3月に両国政府により交換公文が締結され、「平成18年度マダガスカル共和国アンツィラナナ州及びトリアラ州小学校教室建設計画」が実施されることになりました。
JICSはマダガスカル国民教育省の調達代理機関として、調達アドバイザーや弁護士の確保、コンサルタントの選定、コンサルタントによる詳細設計調査の実施、施工業者の選定、家具業者(机・椅子を製作する業者)の選定、施工・調達監理、ソフトコンポーネント実施機関の選定、実施モニタリング、政府間協議会の開催支援等、プロジェクトの実施段階でのマネジメント業務に携わっています。
本プロジェクトは2期に分けられており、第1期ではトリアラ州に24校65教室、第2期ではアンツィラナナ州に28校139教室を建設する予定です。本計画では建設した教室を子どもたちにできるだけ長く使ってもらえるよう、サイクロンや地震に対する耐性を考慮して設計・建設しています。これにより、約1万人の子どもたちの学習環境が改善されると同時に、万が一授業中に災害が発生した場合でも子どもたちの安全が確保されることが期待されています。
2009年4月現在、第1期トリアラ州の24校65教室の建設はすべて完了し、椅子や机等の搬入もほぼ終了しました。
ある学校の引渡し式で、地方教育局(DREN)局長は次のように述べました。
「日本が作ってくれた教室は、きちんと手入れをすれば50年もつと聞いている。日本の援助に常に感謝をしながら教室の維持管理をしっかりと行い、この教室を必ず50年以上使いたい。いつか機会があったら、教室を作ってくれたお礼に、この学校の卒業生と一緒に、日本に学校を作りに行きたい」
第1期トリアラ州の教室建設が完工したことにより、第2期のアンツィラナナ州での教室建設が始まりました。サイクロンが発生しやすい11月前にすべての工事を終えることを目指し、各現場ではコンサルタントや施工業者など関係者とJICSとのチームワークによってプロジェクトを進めていきます。
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