アフリカ南東部に位置するマダガスカルに対して、同国の教育環境の改善のために日本政府が行っている、コミュニティ開発支援無償「アンツィラナナ州及びトリアラ州小学校教室建設計画」において、予定されていたすべての教室建設工事が終わり、それぞれの州で竣工式が開催されました。コミュニティ開発支援無償は現地仕様を設計取り入れるとともに、施工段階において現地企業・資機材を積極的に活用する点が大きな特徴です。
JICSはこのプロジェクトに関して、マダガスカル国民教育省の調達代理機関として、援助資金を管理するとともに、プロジェクトを推進するために必要なローカルコンサルタントの選定や同コンサルタントによる詳細設計調査の実施、施工業者および家具業者(机・椅子を製造する会社)の選定、施工・製造監理を行いました。また、地域住民の参加による学校運営・維持管理活動の定着に向けた支援に必要となるソフトコンポーネント実施機関の選定、実施モニタリングや、政府間協議会の開催支援など、マダガスカル国民教育省に代わり、本プロジェクトの円滑な実施のための様々な業務に従事してきました。
このプロジェクトでは、全体を2期に分け、第1期工事では国の南西部のトリアラ州で24校65教室を、第2期工事では北東部のアンツィラナナ州で28校139教室を建設しました。2009年4月に第1期、2009年12月に第2期の全ての教室建設が完了し、2010年2月5日にはトリアラ州で、11日にはアンツィラナナ州でそれぞれ竣工式が行われました。
竣工式には、マダガスカル側からは首相をはじめ、教育大臣、県知事などの政府関係者、プロジェクト関係者、学校関係者、児童とその保護者等が出席し、日本側からは在マダガスカル日本国大使館、JICAマダガスカル事務所、そしてJICSの各関係者が参加しました。
アンツィラナナ州で行われた竣工式では、子どもたちによる歌と踊りが披露され、会場は和やかな雰囲気に包まれました。両式典の様子は、同国の新聞やテレビなどで大きく報道されました。
このプロジェクトにおけるJICSの役割は、全教室の建設工事の完工をもってほぼ終了となります。JICSは、このプロジェクトに関わり、共にさまざまな困難な問題を乗り越えてきたローカルコンサルタント、施工業者、家具業者に、これからも信頼される仕事をしてコミュニティの活性化に貢献して欲しいという思いを込めて、これまでの協力に対する謝意を伝える感謝状を贈りました。また、竣工したすべての小学校に、電気が通っていない地域でも使用できるタイプのハンドマイクを記念品として贈呈することとし、作業を進めています。すでに使っている学校の先生からは、児童集会などの場で活用でき、とても役に立つと喜ばれています。
このプロジェクトにより、過密教室や二部授業、複式授業などを強いられていた約1万人の子どもたちの教育環境が改善されます。また、ソフトコンポーネントによる支援により、コミュニティによる学校運営・維持管理能力が向上し、援助効果が継続することが期待されています。