アフリカ大陸南東部に位置するマラウイ共和国では1994年の初等教育無償化政策の後、中等教育就学者数は増加していますが、教育施設の不足が深刻な問題となっています※1。
日本国政府は、南部州及び中央州の中等学校6校に対する施設拡充整備をコミュニティ開発支援無償「中等学校改善計画」で実施中ですが、マラウイ政府より更なる施設拡充整備の要請を受け、JICAが現地調査や国内解析も行い、事業計画等を策定しました。そして2012年3月30日、日本国政府は北部及び中部の中等学校6校の教室、管理・図書棟、実験室棟、女子学生寮及び教員住宅等の建設を行うとともに、教育用家具、自然科学及び生物の教材・実験用器具の整備を行う「第二次中等学校改善計画」の実施を決定しました。
JICSは本プロジェクトにおいて、マラウイ共和国政府との調達代理契約に基づき、コンサルタントの雇用、施工会社の選定・契約、家具・機材の調達、資金管理など、小学校建設にかかるプロジェクト全体の調達代理業務を行っています。
本プロジェクトにより、生徒収容数はプロジェクト開始以前(2011年時点)の1,014人(24教室)から、2,240人(56教室)に倍増されます。また女子寮(5校)の整備により、遅れている女子中等教育の農村部への普及が進むことや、教員住宅の整備による有資格教員の比率改善にともなう教育の質向上なども期待されています。
2012年11月16日、建設現場のひとつムクイチ校にて起工式が開催され、ユーニス・ガゼンベ教育科学技術大臣、寒川富士夫在マラウイ日本国大使、下田透JICAマラウイ事務所次長など多くの関係者が出席し、スピーチや学生による歌やダンス・劇が披露されました。式典の様子は同国の新聞・ラジオなどで大きく報道され、本プロジェクトへの期待の大きさがうかがわれました。
※1 補足:マラウイ共和国では、国家開発戦略である「Vision 2020」ならびに中期国家開発戦略である「マラウイ成長開発戦略(MGDS: Malawi Growth and Development Strategy)2006-11」で貧困削減を目的とした成長開発戦略フレームワークの下で「社会開発」の一環として教育の重要性を挙げています。また、国家教育政策では「国家教育セクター計画(NESP:National Education Sector Plan)2008-2017」では均等な教育機会提供、教育施設の改善・拡充、中等教育レベルの就学者数増加、教員数/有資格教員の増加等が優先課題に掲げられています。中等教育に関わる具体的な目標値は(1)中等教育就学者数の増加(2007 年と比較して2017 年までに90%増)、(2)公立中学校教室数の増加(3,754 教室から6,348 教室へ)、(3)女子の就学率の向上(目標男女比1:1)、(4)中等教育修了資格試験の合格率向上(38.6%から65%)等となっています。