ニジェールの初等教育環境改善のために実施されていたコミュニティ開発支援無償「マラディ州・ザンデール州小学校教室建設計画」が完了を迎えました。
この案件ではニジェール国内の全68か所で学校教室全105棟(253教室)、トイレ棟全82棟(233便房)の建設を行いました。この案件に関してJICSは、ニジェール国政府の調達代理機関として援助資金の管理、施工会社・建設コンサルタントなどの選定と契約、進捗管理を行ってきました。
本案件は、JICSが調達代理機関として関わっているコミュニティ開発支援無償案件のなかでも、建設現場が首都から離れかつ東西約500km、南北約300kmにわたり広範囲に点在していることから、首都ニアメ、マラディ州、ザンデール州にそれぞれプロジェクトオフィスを設置して業務にあたってきました。
特に第1期として先行して開始したザンデール州は、最も離れたサイトが首都ニアメから1,000km以上に位置し、また、アクセスの悪いサイトも多いため、巡回する日本人技術者のみならず、現地のコンサルタントや施工会社なども大変な苦労を味わいました。このためか、特にザンデール州では様々な問題が発生し、一時はいつになったら案件が終わるのか全く見通しが立たず途方に暮れることもありました。
しかし、日本側やニジェール側の案件関係者と何度も協議を重ね、ともに試行錯誤を繰り返しながら一つ一つ乗り越えてきました。
そして2010年6月、本計画で予定されていた68か所の学校教室およびトイレ棟の全ての引渡しがついに完了しました。
2010年6月15日、マラディ州アギエ県にあるチャドゥアにおいて、本プロジェクトで建設してきた学校のうち、最後の1校となったチャドゥア・ミクスト校が引渡されました。引渡しに際しては、既に夏休みに入っていたため生徒たちはいませんでしたが、地元で活動する青年海外協力隊員が駆けつけてくれ、ささやかながら関係者一同笑顔での引渡しとなりました。
また同じ時期に、既に引渡し済みのザンデール州マガリア県のマガリア・カルティエ校を訪問したところ、車を降りるなり大勢の生徒たちに囲まれ、大歓迎を受けました。
本案件で建設したマラディ州の学校においては、ソフトコンポーネント(ソフト面の支援)として、学校施設の適切な維持管理方法の指導やトイレの使用に関する衛生教育などを現地の関係者に対して行いました。その結果、例えば手洗い時に石鹸を使う児童の比率が飛躍的に高まったなどの成果が報告されています。
完成した学校は全て使用されており、先生も子供たちも、これまでのわらぶきの校舎と違って大雨による倒壊やサソリなどの害虫の危険がないコンクリートの校舎で安心して勉強しています。