セネガルで実施されているコミュニティ開発支援無償「小中学校教室建設計画」が終盤に近づき、ダカール州をはじめ、ルーガ州、カオラック州、ファティック州、ティエス州で行われていたそれぞれの建設工事が竣工を迎えました。
このプロジェクトは、セネガル政府が取り組んでいる教育問題の改善を支援するため、日本政府が無償資金協力を実施したものです。本件は、日本のODAの枠組みのなかで2006年度に創設されたコミュニティ開発支援無償の第1号案件にあたります。コミュニティ開発支援無償は、現地仕様・設計の導入、現地の企業や資機材の積極的な活用により、現地のニーズにあった品質を確保しながら、コストの縮減を実現する、新しい方式の援助として注目されてきました。
現地コンサルタント、現地施工会社の起用や現地仕様の採用など、現地の事情に即した柔軟な対応が可能となる一方、工程管理や質の確保のために様々な配慮が求められるため、プロジェクトの実施にあたっては高度な案件監理能力、マネジメント力が必要となります。
JICSは、このプロジェクトに関して、2006年12月にセネガル政府教育省と調達代理契約を締結後、現地にプロジェクト事務所を設置し、セネガル政府の調達代理機関として、プロジェクトの実施に必要となる役務・機材の調達や、プロジェクトの進捗管理などのマネジメントを現地で行ってきました。
新しい援助方式であるからこそ、現地における契約概念のすりあわせや工事品質の確保、また、工程管理などといった苦労もありましたが、関係者の協力のもと、2010年8月現在、5州における小中学校287教室の建設と家具や備品等の納入を終えました。すでに新しい教室での授業が開始されている地域もあり、生徒や学校関係者からは「地域で一番すばらしい学校である」「これまでのわらぶき仮校舎と比較して飛躍的に生徒の学習環境が改善された」といった声が寄せられています。
竣工した学校に対して、JICSが社会活動として行っている「プロジェクト支援事業」により、世界地図とセネガルの地図が寄贈されました。今回の記念品は、セネガル教育省や地域の教育関係者からの「子どもたちの目をもっと世界に向けたい」という要望をもとに、世界地図とセネガルの地図に決定しました。
プロジェクトの終了にあたっては、セネガル国政府の担当機関である教育省の次官より、JICSスタッフに対する感謝状をいただきました。
本プロジェクトでは、ルーガ州を除く4州でソフトコンポーネント(ソフト面の支援)が行われました。その成果を受けて、今回竣工した学校の校舎やトイレが適切に維持管理されることが期待されています。
感謝状仮訳
教育省次官より
題:清水様、高野様及びJICSセネガルオフィスの皆様への感謝状
各位
献身かつ熱心かつプロ意識を持った努力の末業務が終了し、皆様がセネガルを離れるにあたり、教育省は皆様に厚く御礼を申し上げます。
清水様を長とするJICSの皆様は、皆様の国とは文化の異なる状況において、ひるむことなく目的を達成し、礼儀の面においても、確固たる意思の面においても、勇気の面においても、模範となるものでありました。
我々は、この経験からあらゆる教訓を得ることができるでしょう、なぜならばセネガル−日本間の協力事業における初めての経験だからです。皆様は、皆様の人柄を通じて全体の利益を大事にすることの大切さや、仕事をきちんと厳密に時間通りに行うことの大切さを示してくださいました。
あらゆる面で模範となるべき今回の協力事業に対する我々の感謝と満足の心を、日本政府及び日本国民に我々に代わって伝えてください。
再度御礼を申し上げるとともに、皆様の旅程でのご無事を祈ります。
プロジェクトマネージャー
清水様
マファカ・トゥレ
教育省次官