2013年5月20日
スワジランド王国で2011年3月から開始されたコミュニティ開発支援無償「中等教育改善計画」にて、建設された全12校の引渡し式が去る3月20日に、首都ムババネから車で30分ほどのヌシャンベニ校にて行われました。
ヌシャンベニ校建設前
このプロジェクトは、2008年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD(※1) IV)において掲げられたアフリカに対する教育セクター支援を具体化したもので、スワジランド王国における中等教育への就学機会の向上、都市部と農村間での就学率格差の改善を目指し、全国4県に全12校の中等学校を建設し、教育関連家具を調達したものです。工事は2011年11月から開始され、2013年2月までに全12校が完成し、開校しています。
JICSはスワジランド王国教育訓練省の調達代理機関として、援助資金を管理し、コンサルタントの雇用、施工会社の選定・雇用、家具の調達など、中等学校建設に係わるプロジェクト全体の調達代理業務を行ってきました。
引渡し式列席者
引渡し式には日本側から岡庭健駐スワジランド王国日本国臨時代理大使(南アフリカにて兼轄)、中村俊之JICA南アフリカ共和国事務所長及びJICA事務所員の方々、スワジランド側からウィルソン チャンガセ教育訓練大臣を始め、各校の校長、地域学校設立委員会のメンバー、教育訓練省・学校関係者、生徒、地域の人々、その他JICSを含むプロジェクト関係者など総勢600名を越える人々が出席しました。
チャンガセ大臣は教育セクターへの日本の様々な支援に感謝すると共に、「いままで、施設の不足と都市部への遠距離通学が、高い退学率と留年率、初等教育から中等教育への低い進学率、未成年の高い妊娠・出産率などにつながっていた。日本政府の支援により全12校の中等学校が地方に建設されて就学機会が改善し、これまでの課題を大きく改善できる。教育訓練省を代表して日本政府と日本国民に感謝したい。」と述べられました。
また、マボンドウェニ校のロッキー マバソ校長は全12校の学校長を代表してスピーチを行い、感謝の言葉を「ありがとうございました」と日本語で伝えました。
その後、生徒達が歌、寸劇、ヒップホップダンスや伝統ダンスを披露し、最後はチャンガセ大臣も踊りに加わり、会場は大いに盛り上がりました。式典の様子は翌日の地元紙やテレビニュースで大きく報道されました。
このプロジェクトで新設した12校により今後、農村部で3,880人(全97教室、各クラス40人で計算)の生徒の就学が可能となります。また、普通教室に加え、理科実験室、学校給食用厨房付き家政科実習教室、ICT(情報通信技術)実習教室、教職員管理棟、トイレ棟などを完備して教育の質を高め、教員住宅の整備により地方への通勤が困難な教員の定着を促すことが期待されています。
※1:TICAD(アフリカ開発会議) TICADとは,Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略であり,アフリカの開発をテーマとする国際会議。1993年以降,5年に1度開催され、日本政府が主導し,国連,国連開発計画(UNDP)及び世界銀行等と共同で開催している。次回、第5回アフリカ開発会議は、2013年6月1日(土)から3日(月)まで横浜で開催予定。
※このプロジェクトについて、外務省ODAメールマガジン第248号にプロジェクト担当者が寄稿しています。