2009年8月4日
工事の安全とプロジェクトの成功を祈る関係者
起工式会場
鍬入れ式
歌を披露する子どもたち |
カマウ省ウミンハ地区は、雨期の冠水や乾期の森林火災の発生などによって生活資源である林産物の成長が阻害されることも多く、住民の生活が極めて不安定な地域です。また、道路や教育、医療施設の整備が不十分であり、ベトナム国内における最貧困地域のひとつとなっています。
さらに2002年3月に同地区を大規模な森林火災が襲い、6,000ヘクタール以上の森林が消失するなどの被害が発生しましたが、ベトナム政府による復旧事業は難航していました。
このような状況を受け、同地区の復旧および開発・貧困削減のために、2008年3月12日、日本政府とベトナム政府との間で「カマウ省森林火災跡地コミュニティ開発支援計画」の実施が決定されました。このプロジェクトにおいてJICSは、カマウ省地方人民委員会との調達代理契約に基づき、同委員会の代理人として機材調達、施工業者の選定・監理および資金管理を行っています。
本プロジェクトは森林改良、道路・水路などのアクセスの整備、医療施設や教育施設の整備を組み合わせ、同地区のコミュニティ全体の生計向上を目指した総合的な開発支援を行うもので、JICSが携わっているコミュニティ開発支援無償案件としては初のマルチコンポーネント型案件です。
2009年7月現在までに木材加工機などの機材調達は終了し、施設建設についても15ロット分全てに関して施工業者との契約を締結しました。
2009年7月23日には、工事の現場となる小学校の建設予定地で合同起工式が開催されました。起工式には日本側からは在ベトナム日本大使館、JICAベトナム事務所、そしてJICSカマウプロジェクト事務所が出席し、ベトナム側からはカマウ省人民委員会、関係各部局、地元の郡当局や学校、森林公社の関係者、そしてテレビや新聞等の報道機関関係者など50名以上が参加しました。現地では、5月から始まった雨季が本格化し連日激しい豪雨が続いており、当日の天候が懸念されていましたが、幸い天候に恵まれ、建設後の小学校に通う予定となっている子どもたちの歌で起工式が始まりました。
カマウ省人民委員会のユン副委員長と日本大使館の西野書記官の祝辞では、品質、安全、工期、そして関係者間の協力の重要性、日本とベトナムとの友好などについて述べられました。これまでの入札手続きから契約、そして着工に至るまでの経緯は決して容易なものではありませんでした。そのため、今回の起工式は双方にとって格別の意味を持つものとなりました。
本プロジェクトで工事を行う43か所の現場は、広範囲の森林地帯に散在しており、現場への移動や資機材の輸送はほとんどが船で行われます。工事や施工監理は決して容易ではありませんが、今後も関係者一丸となり、地域住民の生活向上、そして日本とベトナムの友好関係の促進のため尽力することを改めて誓った起工式となりました。
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