2011年3月15日、コミュニティ開発支援無償「クアンガイ省小規模貯水池修復計画」の起工式が開催され、クアンガイ省人民委員会副議長、在ベトナム日本国大使館書記官、JICAベトナム事務所など多くの関係者が出席しました。式典冒頭、3月11日に日本で起きた東北地方太平洋沖地震での犠牲者、被災者に哀悼と激励を込めた黙祷がささげられました。
ベトナムでは,1980年代前後に経済成長と食糧確保を目的として多くの灌漑用貯水池が建設されましたが,限られた期間と予算の中で建設,維持管理されてきたことから,近年堤防等の劣化が問題になっており,気候変動などの影響による台風の多発により,決壊のリスクが懸念されていました。そのため、ベトナム政府より日本政府に対して、(1)目的貯水池の決壊による水害の防止と(2)農業生産性向上及び防災による人間の安全保障を目的とした支援の要請がありました。この要請を受けJICAが調査を行った結果、2010年8月11日に両国間で交換公文が締結され、貯水池修復などに必要な資金の供与が決定しました。
本プロジェクトの7か所のサイトは,ベトナム中部のクアンガイ省の人口集中地域の付近で、鉄道や主要国道に沿った箇所に位置しています。この地域は台風や洪水などによる災害が多発しており、貯水池が決壊した場合には甚大な被害が発生する可能性が高いと考えられています。本プロジェクトにより老朽化した貯水池を修復することで、対象貯水池が洪水時に決壊するリスクが軽減され,周辺地域の住民の安全が確保されるとともに,同地域における農業用水が安定的に確保されることにより、農業生産性の向上が期待されます。また、ベトナム政府は、本プロジェクト地域をモデルとして全国に普及していくこととしています。
JICSはベトナム・クアンガイ省人民委員会の調達代理機関として援助資金を管理するとともに、プロジェクトを円滑に実施するために調達手続きを含むマネジメント業務を行っています。