2010年10月11日、世界で最も古い都市といわれるジェリコ市において、「ジェリコ1万年祭」の一環としてジェリコ市の主要な玄関口であるアル・クォッツ道路の開通式が行われました。
このアル・クォッツ道路は、2008年12月23日に決定された、日本政府によるパレスチナ自治政府に対する無償資金協力(8.09億円)により実施されている「ジェリコ市内生活道路整備計画」の一環として工事を行ったものです。JICSは本計画において、パレスチナ自治政府の調達代理機関として、援助資金の管理、入札による工事会社などの選定、案件全体の監理を行っています。
この式典は、パレスチナ首相であるサラーム・ファイヤード博士の主催により開催されたものです。式典においては、同首相より、今後3年間の継続的な開発プロジェクトの実施により、特にパレスチナの東方の玄関口として重要なジェリコ市およびヨルダン渓谷流域の総合的な発展を達成を成し遂げることを目的としている旨が述べられました。
また、同開通式ではハッサン・サレ ジェリコ市長から本計画に対する日本政府の協力に感謝の意を表明するとともに、本計画により47の路線の舗装工事、12の路線の修復工事、4の路線の歩道整備、10の路線の街頭の整備など、合計で約34kmもの市内道路の工事が実施されていることが紹介されました。
橋本尚文対パレスチナ暫定自治政府日本国政府代表事務所長からは、本計画は始まったばかりであり、今後数多くの道路工事がJICSのサポートにより実施される予定であることが伝えられました。
日本政府は、「平和と繁栄の回廊」構想を表明した2006年7月より、パレスチナ、ヨルダン、イスラエルとの協力のもとジェリコ市およびヨルダン渓谷に係る支援を実施してきました。この地域の発展は、1年程前にサラーム・ファイヤード首相が提唱した国家建設計画において重要な課題となっています。
開通式で配布したプロジェクト概要の資料(PDF)

開通式では本プロジェクトの概要を伝える資料を配布した |

完成した道路とJICSスタッフ |
ジェリコ市について
ジェリコ市の歴史は、紀元前6800年にさかのぼります。ヨルダン川東岸、および死海の北部において、ある考古学者によって、粘土で作られた家々と、西岸の中央部に位置する市を囲むようにして作られた幅28フィート、深さ8フィートに及ぶ堀と石塀が発見されたのです。
この地域は、温暖な気候条件で育つ柑橘類、バナナ、やしの木などの農作物の成長に適した肥沃な土地として知られており、「パレスチナの食のバスケット」とも言われています。