2011年5月30日

現場入口。日本政府の支援によりプロジェクトが実施されていることが明記された看板が設置されている。

新校舎の建設予定地

建設会社選定のための入札会 |
南部スーダン政府のあるジュバ市では、現在急ピッチでインフラ整備など首都としての街づくりが進められています。これに伴い、建築や自動車整備などの技術者の需要が高まっていますが、内戦の間、技術者たちは十分な訓練を受けることができず、人材育成が緊急の課題となっていました。
そこで日本政府は、2006年からジュバ職業訓練センター(Multi-Service Training Center : MTC)において独立行政法人国際協力機構(JICA)による技術協力プロジェクト「基礎的技能・職業訓練強化計画」を実施。このプロジェクトの効果をより一層高め、持続させるために、スーダン政府より日本政府に無償資金協力の要請があり、2009年6月、紛争予防・平和構築無償による「ジュバ職業訓練センター拡張計画」の実施が決定しました。
本プロジェクトに関して、JICSは南部スーダン政府との調達代理契約に基づき、ジュバ市にプロジェクトオフィスを設置のうえ、施工会社の選定・契約、機材の調達、資金管理や現場レベルでの進捗管理など、プロジェクト全体の監理を行っています。
競争入札による建設会社の選定が終了し、いよいよ工事が開始されることを受け、2011年5月17日、MTC施設建設工事にかかる起工式が開催されました。このプロジェクトでは、7棟からなる新校舎群や実習棟を建設するほか、既存の実習棟2棟の改築などを行います。また、施設が完成するタイミングに合わせ、8学科の訓練コースの実施やMTCの運営のために必要な機材を調達する予定です。
起工式には、本プロジェクト関係者に加え、労働省のヘレン労働局長、現地で実施中のJICA技術協力プロジェクト関係者らが参加しました。ヘレン労働局長のスピーチでは、この職業訓練センターは新たに独立する南スーダンの国造りに欠かせない技術労働者の養成のために重要な施設であることや、無償資金協力と技術協力を合わせた日本からの協力に対する感謝の言葉が述べられました。

起工式でスピーチする労働局長 |

起工式における鍬入れの儀 |
スーダン南北問題について
スーダンでは,アラブ系イスラム教徒を中心とする北部と,アフリカ系キリスト教徒等を中心とする南部の間で20年以上にわたって内戦が続きました。2005年1月に南北間で包括和平合意(CPA)が成立し、2005年10月に南部スーダン政府が樹立され、ジュバ市を首都とした新しい国造りが進められています。
2011年1月には南部スーダンの独立の是非などを問う住民投票が実施されました。この住民投票はCPAプロセスにおいてきわめて重要であるとの認識のもと、日本政府を含む国際社会がその実施を支援しました。
この住民投票により、2011年7月9日に南スーダンが独立することが決定しました。今後もスーダンの平和と安定に向け、南北当事者間で協議が進められることが望まれ、日本政府もこれに協力する方針としています。
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