2003年5月のイラク戦争終結後も混乱した状況が続いているイラクでは、現在に至るまで治安の確保が重要な課題となっています。同国の内務省と警察は、警察官を増員するなど治安安定のために努力を行っていますが、警察官が活動するための警察車両などが不足していました。
そのような中、日本政府に対して、警察用のバスとオートバイ(白バイ)の供与についてイラク内務省から要請がありました。これに対して我が国政府は、イラク国内の厳しい治安状況をふまえ、2003年10月に表明した15億ドル(約1,650億円)のイラク復興支援の一環として、無償資金協力支援を決定しました。
これを受けて、JICSは2005年1月1日にイラク内務省と調達監理契約を結び、2005年から2007年にかけて、必要な資機材の調達を実施しました。
初回は、警察用バス150台、警察用オートバイ(白バイ)480台を2006年4月までに納入しました。続く二度目も、警察用オートバイ(白バイ)600台を追加調達し2007年11月末までに納入を完了しています。2008年2月には、本プロジェクトにかかる調達の完了に際して、引渡し式が現地日本大使館とイラク内務省との間で行われました。
今回供与されたバスは、多数の警察官が移動する際に、また、オートバイは事件や事故の現場で、加えてイラク要人の先導や都市部の交通整理などに大いに活用されていると報告されています。このプロジェクトにより警察の機動性が向上し警察活動が活発になることで、イラクの治安の改善に貢献することが期待されています。