パラオは大小500以上の島からなる国ですが、このうち9つの島に人が居住しています。澄んだ海など島の豊かな自然が魅力で、近年は観光客が増えてきています。その国民生活や観光客の滞在を支えているのがアイメリークとマラカルにある2つの発電所です。
ところが、2011年11月にアイメリーク発電所が火災に遭い、4台の発電機全てが焼損しました。この事故により電力供給量が半減する事態となったことを受け、大統領により非常事態宣言が出され、大半の国民は計画停電の影響を受けることとなりました。
この事態を受け、日本政府は緊急無償援助として、発電機の供与を決定しました。JICSは調達代理機関として、エンドユーザーであるパラオ電力公社、サプライヤーである発電機メーカー、輸送会社等と協力しながら、マラカル発電所へ500kWディーゼルエンジン式発電機4台を納入するまでの調達および資金管理を担当しました。
平成24年5月16日、本プロジェクトの発電機が導入されたマラカル発電所において引渡式が開催され、同国ジョンソン・トリビオン大統領、在パラオ貞岡義幸大使、パラオ電力公社テミー・シュマル理事長及びプロジェクト関係者ら多数が参加しました。パラオ側からは、非常事態に対する日本からの迅速な支援に対して、深い感謝の意が示されました。また、引渡し式に先立ち、メーカー技術者から発電所職員へ、発電機の操作方法や留意事項に関するトレーニングが行われ、参加者のうち1名が引渡し式においてエンジンをかける役を務めました。
今後、パラオ電力公社は、国内の需要電力量を監視しながら、新たに納入された発電機を活用していきます。大統領からは、「発電機は国家経済のエンジン」という言葉が述べられ、必要な電力を供給することでもたらされる様々な効果が期待されています。