2006年11月30日から12月1日にかけて、フィリピンを襲った大型台風によりルソン島南部を中心に泥流及び洪水がおこり、死者734人、全壊家屋約21万4千棟という甚大な被害が発生しました。 2007年7月現在も、多くの被災民がテントや仮設住宅で生活を送っています。これに対してフィリピン政府は被災民の住宅整備のための*Food-For-Workプロジェクトを実施し、コンクリートブロック製の住居の建設に取り組んでいます。
日本政府はこのFood-For-Workプロジェクトを支援するため、2007年1月に1億1,100万円の無償資金供与を決定しました。これを受けてJICSはフィリピン政府と調達代理契約を締結し、日本の援助資金を活用してFood-For-Workプロジェクトに必要な217,010箱の食糧パックを調達しました。これは21,701棟の住宅建築の作業に対して提供される食糧パックであり、21,010世帯(1世帯あたり5名として約10万人)がテントや仮設住宅での生活から抜け出すことができる計画です。
2007年7月20日、食糧パック第一便の出荷に際し、社会福祉開発省(DSWD)にて同省ヤンコ長官、在フィリピン日本大使館山崎大使、関係者一同が出席のもと出発式典が開催され、Food-For-Workプロジェクト及び、これから始まる食糧輸送が無事遂行されることを祈念しました。食糧パックはルソン島中南部8つの州に7月23日から9月中旬にかけて輸送される予定です。なお、本プロジェクトはフィリピン国内でも高い関心を集めており、同式典の様子は現地新聞3紙、現地邦字新聞1紙で報道されました。
*Food-For-Work Project(フード・フォー・ワーク・プロジェクト)
被災者に復興作業に関わる仕事を与え、その対価として食糧を支給するプログラム
2007年7月20日に開催されたFood-For-Workプロジェクト出発式典の後、約2,000パックの食糧を積んだトラックがマニラを出発し、7月23日にルソン島南部でも最も被害の大きかったアルバイ州の指定倉庫へ到着しました。
第一便の食糧パック到着を受け、7月24日、アルバイ州ダラガ市アニスラグ村において、テント生活を送る被災民約200名が集まり、食糧の引渡し式が開催されました。式典ではDSWD事務所長、ダラガ市長、アルバイ州代表者など列席者がスピーチを行い、日本政府の支援に対する謝意が述べられるとともに、これまでの住民の忍耐への感謝とあわせ「今年は良いクリスマスが迎えることができるよう頑張ろう」とのエールの言葉が送られました。その後、プロジェクトの現場責任者から住民に食糧パックが直接手渡されましたが、その際には多くの住民が覚えたての日本語で「ありがとう」と述べるなど、質素ながらも心のこもった式典となりました。
なお、同サイトでは総数892棟の建築を計画しており、これまでに48棟が完成し、146棟が建設中です。日本の援助で調達された食糧のうち、同サイトへは合計8,920パッケージが配給されることになっています。
JICSはこれからも、フィリピンの復興に向け、引き続きサポートしていきます。