本プロジェクトは、アディスアベバ市内に計8つの小中学校の建設および必要な学校家具の調達を行うノン・プロジェクト無償の案件です。各学校施設は、教職員室及び図書館のある管理棟1棟と、教室棟2〜3棟(サイトによって教室棟の数は異なる)から構成されています。本プロジェクトの特徴は、(1)コミュニティ開発支援無償のような邦人コンサルタント企業を活用した事前の調査ではなく、JICSによる簡易調査を実施しており、(2)設計施工監理のコンサルタントついても民間企業ではなく、日本政府とエチオピア政府の合意のもと、アディスアベバ市当局設計・施工監理部門が、設計と施工監理を担当しています。そのため本プロジェクトでは、コンサルタント雇用費用が必要なく、その分を学校建設工事費へ充当することで、より多くの学校が建設可能となることが大きな特長です。
本プロジェクトは、平成21年(2009年)7月に学校建設業者選定のための入札が始まり、完成した小中学校には近隣に住む子どもたちが通学しています。また、現在、プロジェクトの残余金を用いて、アディスアベバ市内の既設校(Yeabeboch Fire小学校)の敷地内に新たに2棟の教室棟を建設中です。この工事現場のすぐ隣に既存校舎が二棟並んでおり、本来は一教室に児童数定員50名のところを80〜90人程度で授業を行っている状態です。全児童数も1,200人以上と飽和状態で、同校では昼間と夜間のシフトに分けて授業を行っています。新校舎が完成すると新たに600人以上の児童が学校に通えるようになることから、同校の教員も児童もみな、一日も早い新教室棟の完工・引渡しを心待ちにしています。
JICSでは、本プロジェクトで完成した各学校に図書館用の書籍を寄贈しています。2012年2月21日には、今回建設した学校のなかでも一番規模の大きいCheffie小学校(第1ロット)図書館に、計121冊の書籍を寄贈しました。この中には現地共通語であるアムハラ語で書かれた参考書だけでなく、エチオピアの子どもたちの英語能力の高さから、すべて英語で書かれた参考書や百科事典、辞書等も含まれています。下の写真(右上)に写っているのは書籍寄贈の際に同席した同校教員で、寄贈された本を慈しむように眺めていたのが印象的でした。現在建設中のYeabeboch Fire小学校にも、校舎が完成次第JICSより書籍を寄贈する予定です。
これらの書籍が子どもたちの明るい未来に役立つことを祈っています。