2009年9月30日に西スマトラ州パダン沖でマグニチュード7.6の地震が発生し、死者1,100人を超える大きな被害が生じました。特にパダン市及びパダンパリアマン県では、小学校417校、中学校162校が全壊あるいは甚大な被害を蒙り、児童や生徒は仮設教室やテントなどの劣悪な環境での学習を余儀なくされました。
そこで日本政府はインドネシア政府の要請を受け、復旧・復興支援の一環として、2010年3月より、地震によって被災した学校を耐震性を備えた安全な学校に再建する「西スマトラ州パダン沖地震被災地における安全な学校再建計画」の実施を決定しました。
JICSはインドネシア共和国国家防災庁(BNPB)の調達代理機関として、BNPBに成り代わり小学校7校(計61教室)、中学校3校(計63教室)の建設に従事する建設会社を入札によって選定して契約し、援助資金の管理を含む学校建設プロジェクトの全体管理を行ってきました。
2011年5月以降、順次インドネシア側に完成した学校の引き渡しが行われ、同年12月にはパダン第7中学校及びパダン第25中学校の引渡しが行われたことで、当初より建設予定だった全ての学校引渡しが完了しました。引き渡された学校は現在、被災地の3,000人以上の児童・生徒にとって安全で良好な学習環境の場となっています。また同時に、学校は大規模な地震に耐えられる構造設計に基づき建設され、教育活動のみならず周辺住民の防災活動や備蓄物資の保管スペースも設けられており、地域における災害時の避難所・防災拠点としての役割も兼ね備えています。
再建された学校に通う児童や生徒、また教師や学校関係者は学校を丁寧に使用しており、ドゥアカリスブラスナムリンクン第8小学校では自主的に花壇を造るなど、日本の支援を自分たちの手でより有意義なものにしようとする工夫も行っています。
JICSは現在、援助資金の残余金により追加で建設が決定したパダン第15小学校について、できるだけ早く学校が完成し、児童たちが通学できるよう、プロジェクトを進めています。

完成した学校で学ぶ児童たち
(リマコトティムール第2小学校) |

教室を掃除する児童たち
(リマコトカンプンダラム第3小学校) |
※このプロジェクトの過去の記事はこちら