“Education for All”(すべての人に教育を)の目標を2015年までに達成するため、努力を続けているレソト政府に対する日本政府からの支援の一環として、2008年3月から実施されてきたコミュニティ開発支援無償「中等学校建設計画」がプロジェクトの終盤を迎えました。
このプロジェクトは、教育施設の不足状況の改善を目的として優先度の高い7県に各1校ずつ5年制中等学校を建設するもので、JICSはレソト政府と調達代理契約を締結し、レソト政府に代わり援助資金を管理するとともに、現地にプロジェクト事務所を設置し、中等学校建設のための調達業務(建設会社や家具納入会社等の必要となるサービスと物資にかかる選定と契約、工事進捗監理および学校家具の納入管理など)を実施してきました。山国であるレソトでは天気が変わりやすいうえに、冬には雪が積もるなど厳しい環境下での作業となりましたが、関係者の協力のもと、ほぼ当初の予定通りのスケジュールで進めることができました。
本プロジェクトでは各校に10の教室と、理科・ICT実験室、管理諸室(校長室、職員室、倉庫)、便所、給水施設、教職員用住宅を建設しました。また、生徒の通学範囲が広い地方山岳地域や入学希望の生徒数が多い首都では学生寮や多目的ホールも建設する等、現地の状況に応じて施設を建設しました。
今般、これら7つの学校うち、近隣の電波塔の影響を考慮して建設予定地が変更された1校(5月完工見込み)を除く6校の工事が終了したことを受け、2010年3月5日、今回建設した学校のうちの一つである首都マセル市のマソエ高校において引渡し式が開催されました。
式典には、レソト側からはモシシリ首相、教育大臣他主要閣僚が、そして日本側からは小澤駐レソト王国大使(南アフリカ共和国にて兼轄)、JICA南アフリカ共和国事務所次長らが参加しました。他にも、アイルランド大使、国連開発計画(UNDP)代表、中国大使、建設された学校の各校長、地方政府関係者などが招待され、150人の生徒と約100人にものぼる地域住民とともに式を見守りました。また、現地テレビやラジオ、新聞など報道各社も取材のために多数訪れました。
式典では、大使がスピーチの中で、本案件の7校は地元の建設会社により地元の人的物的資源を有効利用して建設されてきたことや、日本の顔が見える援助を実施する上で JICSが案件の実施と品質管理を担ってきたことについてその重要性が述べられました。また、1971年から続くレソトとの友好関係の中で日本は教育、保健衛生、食糧支援など多岐の分野に亘って援助を行っていることや、二国間協力のみならず国際機関経由においても支援が実施されていることが紹介されました。
モシシリ首相からは、日本の寛大な援助に対する感謝の意が述べられると共に、式典に参加者している生徒やコミュニティの住民らに対し、教育は国の発展の根幹であり、今回の日本の援助による学校建設は非常に重要な意味を持つとの発言がされました。
建設される7校の学校長代表からは、今回の日本の援助により非常に綺麗で立派な施設が完成したことで、教師、生徒、地域住民はそろって大変感謝しているとの言葉が寄せられました。
前夜には雨が降り天気が心配されましたが、当日は素晴らしい天気に恵まれ、夏のやや強い日差しの中、生徒たちによる感謝の念を込めた歌や踊りを交えた式典は、2時間にわたり盛大に執り行われました。