2009年12月22日
エンバンクメント工事の様子
エンバンクメント工事前
完成したエンバンクメント
工事後に植林されたメラルーカの苗木
メラルーカの苗木を手にするカマウ省農業農村開発局副局長とJICS職員(左) |
ベトナム最南端のカマウ省で実施されているコミュニティ開発支援無償「カマウ省森林火災跡地コミュニティ開発支援計画」は、林地改良、水路、道路、橋、医療施設、教育施設などのインフラ整備および建設機械、木材加工機、病院機材の整備など、幅広い分野での支援を実施しています。
JICSは調達代理機関として、本プロジェクト推進に必要な役務や機材の調達、プロジェクト監理および資金管理を担当しています。JICSが関わるコミュニティ開発支援無償案件では初めての「マルチコンポーネント型」案件として困難な点も多くありましたが、関係者との協力により、2009年7月までに機材調達が完了し、2009年12月現在、各施設の建設工事が行われています。
このプロジェクトの大きな柱のひとつは、カマウ省ウミンハ地区の約500ヘクタールの土地に「エンバンクメント」と呼ばれる土盛りを作る、植林用林地の造成工事です。
この地域の土壌は酸性土壌であるため、農作物の生育には適していません。そのなかで地域の住民は、ベトナムで建設用の杭などに使われる「メラルーカ」という耐酸性土壌の木を育て、収入源にしてきました。しかし、土地が冠水する雨季にはメラルーカの成長が阻害されるという課題がありました。
そこで、メラルーカの生産性を上げ、住民の収入を向上させるために計画されたのが、エンバンクメントを作る工事です。土盛りによって地盤レベルを上げるエンバンクメントを作ることで、雨季のメラルーカの冠水を防ぎ、成長を促すことが見込まれています。
このエンバンクメントは、独立行政法人国際協力機構(JICA)によって行われた技術協力プロジェクト(「森林火災跡地復旧計画プロジェクト」(2004年2月〜2007年3月))により、その有効性は実証されていましたが、同国の経済的な制約により一部で導入されているのみでした。本プロジェクトでの本格的な導入に、ウミンハ森林公社、地域の住民の期待感は高まっています。
さらに、エンバンクメント工事を行った場所にはモデルファームを併設し、メラルーカの植林だけでなく、稲作や果物の栽培、魚の養殖などを組み合わせ、より一層の所得の向上を目指すことも計画されています。
2009年9月から、それぞれのエンバンクメント工事の部分引渡しが終了した現場で、ベトナム政府ウミンハ森林公社と地域住民によってメラルーカの苗木の植林が開始されました。苗木の植林には、雨季の期間中、ある程度水量の多い時期が適しています。雨季が終わる10月末頃までに、全体の約3割のエンバンクメントに苗木の植林が行われました。植林は、来年の雨季に再開される予定です。
本プロジェクトに関する過去の記事はこちらをご覧ください。
コミュニティ開発支援無償によるマルチプロジェクト
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