2007年6月12日

VVM付きはしかワクチン。ふたに貼ってあるVVMによりワクチンの有効性を判断する。 |
JICSはこれまで、ワクチン調達の際にVVM(Vaccine Vial Monitor)の貼付を積極的に入札仕様に明記してきましたが、その普及に貢献したとして、2007年5月、WHO(世界保健機構)から表彰されました。
近年、様々な感染症への対策として予防接種の普及が進められていますが、ワクチンの輸送や保存における温度管理が課題とされています。特に開発途上国では、停電や保管冷蔵庫の不具合、運搬時の温度管理の不備などにより、ワクチンの保管温度が許容範囲を超えてしまうなどの困難を抱えています。
高温にさらされたワクチンは廃棄するよう規定されていますが、実際には保管中の温度上昇に気づかないまま効き目のなくなったワクチンを使用してしまったり、その反対に、まだ使用できるワクチンを一時高温下に置いていたという理由で廃棄してしまうケースもあると言われています。
そこで、ワクチンをより有効に使用するためWHOはVVMの普及を呼びかけ、JICSはこれに応えてVVMをワクチンに貼付することを入札仕様書に盛り込み、調達を実施してきました。
このVVMとは、ワクチンの容器に貼付するシールのことで、温度変化により変色する性質を持っています。そのため、これが貼付されていると、その容器に入ったワクチンが今まで適切な温度下に置かれていたかどうか、すなわちそのワクチンが有効かどうかを容易に判定することができます。
このVVMについては、現場からも高い評価を得ており、ベトナム保健省国家予防接種局長のVan Cuong博士からは「コールドチェーンが未発達の僻地においては、VVMが頼みの綱であり、ワクチンの配布頻度の低減、ひいてはコストの削減につながった。ヘルスワーカー達はVVMを信頼しており、全てのワクチンに貼り付けるよう要求している」とのコメントが寄せられています。
JICSの試みは1997年度のポリオ撲滅計画案件より他ドナーに先駆けて開始され、他のワクチンへと広がりを見せました。現在ではVVMの普及はかなり進んでおり、多くのワクチンがVVM付きで調達できるようになってきています。
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