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カンボジアの地雷問題と研究支援の背景について
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2007年3月23日

(写真)
この子ども達に輝かしい未来と笑顔を

 世界中に埋設されている対人地雷は、6,000万個とも7,000万個とも言われているが正確な数字は把握されていない。これは地雷を埋設した正確な情報を既に喪失してしまったか、あるいはもともとそのような資料を残さず無差別、ゲリラ的に埋設したためである。戦争や内紛が終結し、平和がもたらされても地雷は地中に埋設されたまま放置され、戦後の負の遺産として市民生活を脅かす存在となっている。
 カンボジアで初めて地雷が埋設されたのは1967年ベトナム戦争当時のことである。
 ベトナム戦争や東西冷戦を起因としたカンボジアの内戦は、1991年に「カンボジア和平パリ国際会議」での最終合意文書の調印まで約20年間続いたこととなる。この長年の内戦の影響により、カンボジアは世界でも有数の地雷埋設国となってしまった。
 内戦終結後の1992年にカンボジア地雷除去センター(CMAC)が設置され、以後CMACが中心となり国際社会の支援を受け地雷除去に取り組んでいる。一方でカンボジアは1997年12月3日に、対人地雷禁止条約(オタワ条約)に署名、1999年7月28日に批准したオタワ条約では締約国に対し、「自国の管轄又は管理の下にある地雷敷設地域におけるすべての対人地雷につき、この条約が自国について効力を生じた後できる限り速やかに、遅くとも十年以内に、廃棄し又はその廃棄を確保することを約束する。」ことを求めており、地中に埋設されている地雷についても10年以内の処理を義務付けている。
 カンボジアの気候は熱帯モンスーン気候に属し、地域によっては高密度な潅木・竹林地帯が形成されている。カンボジア国の地雷除去活動を担うCMACの現場活動の作業時間の70%は潅木除去のために費やされている。
 このような状況下、日本国政府は無償資金協力にて、1998年度(1期)、2002年度(3期)、2004年度(4期)の3回にわたり、合計26台の潅木除去機の調達支援を行っている。
 過去、埋設された地雷を直接除去する機材である「地雷」除去機の支援を日本が行うことは「武器輸出三原則等」に抵触する恐れがあったため、実質上不可能と考えられていた。
 しかし1996年頃より、国際的に対人地雷の生産、使用禁止に対する気運が高まる中、日本政府においても対人地雷問題への取り組みについて検討が始まり、2002年8月には、人道目的の対人地雷のみを処理する機材等については、その目的仕様等からみて「軍隊が使用し直接戦闘の用に供されるもの」という武器輸出三原則等上の武器の定義に該当しないという解釈がなされるようになった。したがって、現在ではこれらの理由・解釈により、対人地雷除去機の輸出が可能となっている。
 日本の経済産業省外郭団体である独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO:New Energy and Industrial Technology Development Organization)は、2003年度(平成15年度)より世界の地雷埋設地域を大きく土漠地と植生地とに分類し、(1)土漠地対応型地雷除去機、(2)植生地対応型地雷除去機を開発することにより、世界中の地雷原に適応させたいとしている。
 そこでNEDOは2003年度より実施した(1)土漠地対応型地雷除去機の開発に続き(対アフガン)、(2)植生地対応型地雷除去機の開発助成を実施した。この開発助成のためカンボジアおよびアンゴラを対象とした「地中等埋設物の除去技術開発に関する調査」の実施をJICSに依頼した。
 この調査を受け、外務省、経済産業省、文部科学省が協力し、ODAのスキームである研究支援無償の予算(平成17年度予算)を活用し、地雷除去機及び探知機の現地試験をカンボジアにおいて行った。
 カンボジアは歴史遺産も多く観光資源も豊富であり、かつ農業生産自給国として自活する能力のある国である。
 近年、カンボジアの経済活動の活性化に伴い地方公共団体のインフラ整備、学校建設、農地開墾等の開発が加速している。この開発の妨げになっているのは地雷であり、被害者は弱い立場の農民や子どもたちである。現在も年間約800名程度の地雷の被災者を出している。CMACでは、現在まで日本から調達した潅木除去機26台を活用して地雷除去員とともに地雷除去活動を行ってきたが、このような状況から地雷除去の更なるスピードアップが求められており、そのための新しい技術の導入を推進している。
 JICSは、日本政府の関係三省、カンボジア政府及び機材製造者等と協力し、カンボジアを始め世界の地雷問題解決のため、安全で、効率的な地雷除去活動の推進に協力している。

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