2009年7月、パキスタン北西部に位置するバタグラム県アライ郡バナ市の地域保健センター(RHC : Rural Health Center)の再建工事が完工し、パキスタン側へ無事引渡されました。本件は、2005年10月8日に発生した大地震によって深刻な被害を受けた地域を対象とした、復興支援の一環として行われていたものです。
今回、地域保健センターを再建したアライ郡バナ市からバタグラム県の中心部へは、崖の切り立つ険しい山道を車で2時間以上かかります。都市部への交通が不便なアライ郡内では、震災以前から高度な医療サービスが受けづらい環境にあり、震災後はセンターが再建されるまでNGOが運営する仮設テントで診療が行われていました。
本センターの完成により準高度医療サービスの提供が可能になったことから、住民たちは時間をかけて都市部の大病院に通院する必要がなくなります。また、この地域に安定した質の高い医療サービスを供給するために、センター敷地内には住居棟も建設され、医療関係者が着任しやすい環境も整備されました。
引渡し式典に参加した地元選出州議会議員および県保健当局関係者らからは、日本への感謝の意が表されるとともに、「地域女性の保健医療充実のために、このセンターには複数の女医を配置する」との発言がありました。地元の住民からは、新施設での充実した医療体制に対する大きな期待が寄せられています。