ニジェール 「中学校教室建設計画」で起工式を開催

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2015年11月18日

 ニジェール共和国において「中学校教室建設計画」の起工式が、2015年9月17日に同国南西部に位置する首都ニアメ市のクワラ・テギ中学校にて開催されました。

 式典には、ニジェール側から、シャイブ・ラウアリ公務員・行政改革大臣(首相代理)、ベティ・アイシャトゥ・ハビブ・ウマニ中等教育大臣およびハミドゥ・ガルバ ニアメ州知事、日本側から川村 裕 駐コートジボワール大使(ニジェールは在コートジボワール日本国大使館が兼轄)、小林 知樹JICAニジェール支所長が主賓として列席され、ニアメ市及び中等教育省関係者をはじめ、大使館、JICA、教員、生徒、保護者、近隣住民、コンサルタント、各施工会社、JICS等、多くのプロジェクト関係者が参加しました。

 起工式は約1,000人が参加する大規模なものとなりました。ウマニ中等教育大臣は、祝辞の中で、本プロジェクトによる生徒の学習環境と教員の労働環境の改善について、日本政府と日本国民に対しニジェール政府とニジェール国民の心からの謝意を表明されました。また、川村大使は、国の発展における教育の重要性を強調し、教育分野における日本とニジェールとの協力が順調に進んでいることを評価されました。

 その後、ウマニ大臣と川村大使によるブロック積みが行われ、記念の植樹、メディアインタビュー、中等教育省インフラ局長によるパネル説明の順に進み、式典は無事終了しました。本式典の開催にあたっては、中等教育省、ニアメ市、JICAニジェール支所、コンサルタントならびに施工会社の皆様にご尽力いただき、出席者皆の心に残るセレモニーとなりました。

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ブロック積みのセレモニー
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川村大使による記念植樹

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メディアが多く詰め掛け、ウマニ大臣と川村大使へのインタビューが行われました

 ニジェールは国連開発計画(UNDP)の人間開発指数(2014年)が世界187か国中187位で、サブ・サハラ諸国の最貧国の1つです。教育についても1999/2000年の初等教育就学率は34.1%(サブ・サハラ諸国は74%)と世界的に最低水準でしたが、ニジェール政府及び関係機関の取り組みにより、2010/2011年度には76.1%に向上し、これに伴い中等教育への進学者が急増しています。本プロジェクトの対象地域であるニアメ市は、中学校への進学率が96.4%(2010/11年度)と全国で最も高く、教室不足により入学希望者に対し受入困難な状態が続いている一方、既存教室の約30%が藁の教室(柱は木)であり、天候等に左右されず継続使用が可能な教室の建設が急務となっています。

 藁の教室は比較的安価に設置でき、風通しがよく過ごしやすいものの、採光が基本的に入口部分の1か所しかないため、教室内は薄暗く、また、地面の上に直接設置するため、床は土や砂のままで雨が降るとすぐにぬかるんでしまいます。風が吹けば飛んでしまい、火がつくと簡単に燃え、机や椅子も全部一緒に燃えてしまいます。傷みも早く、新学期になると毎年新しい藁の教室を設置しなければならず、生徒や教師のみならず、中等教育省やニジェール政府の負担となっています。

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現在使用されている藁の教室
きれいに設置されていますが、脆弱で、内部は薄暗いです

 日本政府はニジェール政府の要請を受け、「中学校教室建設計画」に関する資金援助を決定し、両国政府で交換公文(E/N)を交わし、JICAは贈与契約(G/A)に基づき、資金供与を行いました。JICSはニジェール政府の調達代理機関として、援助資金の管理、コンサルタントの調達、施工会社及び家具会社の調達、両国関係者の調整等、プロジェクト全体の管理を担当しています。

 本プロジェクトではニアメ市内の中学校11校における105教室、6管理棟、36トイレブースの建設と机・椅子等の調達を行います。これにより5,250人の生徒が設備の整った環境で学習ができることになります。

 JICSは過去にニジェール南東部のマラディ州、ザンデール州でもニジェール政府の調達代理機関として、2007年から2州68校で253教室、233トイレブースを建設するプロジェクト「マラディ州及びザンデール州小中学校教室建設計画」に携わりました。このプロジェクトの実施中にはクーデターが発生し、厳しい状況の中でのプロジェクト管理でしたが、2010年6月に全校の引渡しを完了しました。不安定な政情は現在も続いていますが、先行案件の経験を活かし、ニジェール関係者と常により良い信頼関係を構築し、コンサルタント、施工会社とともに、この国の未来を担う子どもたちが良質な環境で学べるよう、長い間活用できる教室を建設したいと思います。

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「マラディ州及びザンデール州小中学校教室建設計画」で建設された教室 (2010年撮影)

※本文内の青字をクリックするとその文言の説明部分(JICSホームページ内)にジャンプします。

・国連開発計画(UNDP)の人間開発指数:人間開発指数は、保健、教育、所得という人間開発の3つの側面に関して、ある国における平均達成度を測るための簡便な指標です。詳しくは下記URLをご参照ください。(国連開発計画駐日代表事務所WEBサイト)
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/library/human_development/human_development1/hdr_2011/QA_HDR1.html

プロジェクト基礎情報

案件名 ニジェール中学校教室建設計画
供与(E/N)額 12.23億円
交換公文(E/N)署名日 2013年11月19日
贈与契約(G/A)署名日 2013年11月19日
調達代理契約(A/A)日 2014年3月25日
契約相手(調達代理契約) 中等教育省
プロジェクト概要 ニアメ市内の中学校11校における105教室、6管理棟、36トイレブースの建設及び机・椅子等の調達
JICSの役割 本プロジェクトの調達代理機関として、援助資金の管理、コンサルタントの調達、施工会社及び家具会社の調達、両国関係者の調整等、プロジェクト全体の管理を担当
調達品目 コンサルタント(施工監理)
施工会社(教室、管理棟、トイレブースの建設)
家具会社(机・椅子等の製造及び納入)
プロジェクトの主な流れ/現状 2014年7月:コンサルタントとの契約締結
2015年8月:施工会社との契約締結
2015年9月:工事着工

余談ですが・・・・
以前、ニジェールへの出張の際、東日本大震災被災地石巻のお母さん達が作ったカードケースをウマニ大臣にお渡ししたところ、被災者へのお見舞いと一日の早い復興を、とのお言葉をいただきました。
そのときの様子はこちらからどうぞ

「マラディ州及びザンデール州小中学校教室建設計画」の記事はこちらからどうぞ