2007年3月23日
カンボジアの地雷問題と研究支援の背景について

地雷探知機試験の様子

車載型地雷探知機の画像を確認する様子
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2007年1月19日、カンボジアで行われていた「カンボジア王国地雷除去活動支援機材開発研究計画」の現地試験が無事に終了しました。
本プロジェクトは、日本で開発した対人地雷除去機と探知機をカンボジアに輸送し実施試験および評価を行うもので、2006年3月17日に日本政府とカンボジア政府の間で研究支援無償協力が決定され、同年3月23日にJICSはカンボジア地雷除去センター(CMAC)と実施監理契約を締結しました。これを受け、JICSは地雷除去機及び探知機の開発研究に参加する団体・機材の選定(公募)から、カンボジアの条件下でその機材が有効に活用できるかを実証するための現地試験の実施までの監理業務を実施しました。
地雷探知機に関しては、携帯型探知機の現地試験を2006年11月〜12月まで、車載型探知機の現地試験を同年11月〜2007年1月中旬にかけて、シェムリアップのCMAC試験場にて行いました。また、地雷除去機に関しては、2006年7月〜12月にかけて、同試験場でのパフォーマンス試験、耐爆試験、およびバッタンバンの地雷原での試験を実施しました。
両機材とも、実際の地雷(雷管抜き)を使用する危険な試験を行う必要があったことから、安全を確保するために事前に地雷除去作業員、オペレーター、メカニックに対し、約2週間にわたるトレーニングを行った上で試験に臨みました。現地試験の終了後には、試験地となったシェムリアップにおいて、多くの政府関係者も出席のうえ、研究開発の対象となった各機材の展示会が盛大に行われました。
今後は、今回の実証試験の結果を踏まえ、実用化に向け更に機材の改良改善が進むことが期待されています。JICSはこれからも、地雷除去、技術の発展に向けた研究支援をサポートしていきます。

地雷除去機の基本性能試験の様子 |

耐爆試験で破損した部品の交換作業。参加企業の指導の下、CMACのメカニックが破損した部品の修復作業を行った |

試験参加企業からCMACの地雷除去作業員、メカニック、オペレーターに対しトレーニングを行った |

政府関係者や一般の市民を招いての地雷除去機展示会 |

参加者および地雷除去作業員との集合写真 |
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【参加企業および機種】
(1) 地雷除去機 4機種
企業・団体名 |
機種 |
山梨日立建機(株) |
AP Landmine Disposing Machine, Push-type Flail Hammer (BM307-FV25) |
山梨日立建機(株) |
AP Landmine Disposing Machine, Swing-type Flail Hammer (BM307-V33) |
コマツ(株) |
Komatsu Demining Equipment Heavy duty type (DX85EX-15base) |
(2) 地雷探知機 (地下レーダー方式)
1. 車載型探知機 3機種
企業・団体名 |
機種 |
電機通信大学、東京工業大学、タウ技研 |
The dual sensor system composed of “high-speed scanning metal detector type GRYPHON” and “the manual scanning type one-dimensional array radar LAMDAR-3” |
東京工業大学 |
GRYPHON with Dual-Sensor |
2. 携帯型探知機 2機種
企業・団体名 |
機種 |
東北大学 |
Advanced Landmine Imaging System (ALIS) |
三井造船(株) |
Mitsui Fusion Sensing A.P. Mine Detector |
備考:川崎重工業(株)の地雷除去機及び車載型探知機は公募により選定されたが、現地の雨季の軟弱な地盤状況に適合しないため、参加を辞退した。 |