リベリア 豊富な調達経験を生かし、エボラ出血熱対策で必要な物資を迅速に調達

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2016年1月8日

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2014年11月19日  JICS本部でヤンゴー・セベリー・テレウォダ駐日リベリア共和国大使とJICSの仲谷代表理事が署名し、調達代理契約を締結しました。
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空港で活躍中のサーモグラフィー・カメラ。
熱を感知します。
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引渡し式では、ジャラ国家調整官(一番左) 吉村大使(左から3人目)がズオ補佐大臣(右から2人目)をはじめとした出席者がサーモグラフィー・カメラを視察しました。

 2014年、西アフリカ諸国でエボラ出血熱の感染が拡大し、11,000人以上の方の命が奪われました。日本政府はその対策支援として様々な支援を実施していますが、その一つとして2014年11月に、西アフリカ3カ国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)に対する緊急無償資金協力を決定し、資金供与を行いました。

 JICSは3カ国のうち、ギニアとリベリアへの支援(供与額は両国ともに3.8994億円)について、両国政府の代理(調達代理機関)となる契約(調達代理契約)を交わし、日本政府から供与された資金を用いて個人防護具(防護服、マスク)、サーモグラフィー・カメラ、血中酸素計、検査機器、ベッド類などを調達し、プロジェクト全体の監理、資金管理なども実施しました。今回はリベリアでの取組みをご紹介します。

 JICSは今まで、リベリアに対する食糧援助や世界各地への緊急無償資金協力に調達代理機関として携わってきました。今回は現地に入国せず、日本からの遠隔オペレーションとなりましたが、いままでの経験が大きく役立ちました。

 エボラ出血熱の感染拡大は世界的な問題で、様々な国や機関が援助を行っていたことから、まずは現地で受入を担当しているナショナル・エボラ・コマンドセンターや在ガーナ日本国大使館との連絡を密に行い、日々動きのある援助内容を把握し、援助重複による特定物資の援助供給過多などを避けるため、調達する物資の種類や数の調整を行いました。

 現地で大量に不足していた個人防護具は、世界中で需要が増し、品薄状態でした。しかし、JICSは個人防護具の調達経験をもとに複数の企業へ照会し、送付予定分を確保することができました。また、防護服にはサイズがありますが、現地への出張経験がある職員の情報などを参考にして、現地に合わせたサイズを選択しました。

 購入した個人防護具はヨーロッパ経由の航空貨物でリベリアに送りましたが、世界各地からの援助物資が大量にあったうえ、いざ、自分達が手配した物資輸送の順番が来ても、貨物輸送量はその便の搭乗者数にも左右されることから、毎日輸送会社にその日輸送できた物資を確認するような状況が続きました。

 JICSではこのほかに現地の要望をもとに、空港で使うサーモグラフィー・カメラなどを現地へ届け、すぐ使用が開始されました。

 その後、エボラ出血熱の感染も沈静化し、2015年8月19日に首都モンロビアのロバーツ国際空港で、ナショナル・エボラ・コマンドセンターのジャラ国家調整官、外務省のズオ国際協力担当補佐大臣ならびに吉村馨駐ガーナ日本国大使(リベリアは在ガーナ大使館が兼轄)などが出席され、引渡し式が開催されました。

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2015年11月11日
アクセル・マルセル・アディ通商大臣がJICSを
来訪され、仲谷代表理事と記念撮影。

 2015年11月11日には、木原誠二外務副大臣との会談や特許庁訪問等で来日中のリベリアのアクセル・マルセル・アディ通商産業大臣とヤンゴー・セベリー・テレウォダ駐日大使がJICS本部を来訪され、プロジェクト実施に対する謝意や個人防護具の迅速な輸送手配に驚いたことなどを述べられました。JICS本部へ調達代理契約を交わしている国の大臣がいらっしゃることは少なく、本当にありがたいと感じています。

 そして11月下旬には食糧援助ノン・プロジェクト無償ならびにエボラ出血熱対策プロジェクトに関するリベリア政府との打ち合わせのため、JICSの担当者がモンロビアを訪れました。リベリア出張経験のある職員が今回も訪れましたので、現地の状況や感じたことなどコメントとして掲載いたします。

リベリア出張者のコメント

 モンロビア市内はエボラ出血熱の流行前と変わらず活気に溢れていました。しかし、驚いたのは、基本的な衛生対策が徹底されていたことです。公共の建物(空港、省庁ビル、ホテル、レストラン、スーパー等)に入る際は必ず建物の外に設置されているタンクから水を出し、石鹸で手を洗い、スプレーでの消毒が義務付けられ、ガードマンが厳しく入館管理を行っていました。このタンクに貯蔵されている水を出すには蛇口のレバーをひねりますが、蛇口部分に手が直接接触しないよう、足元のペダルを踏むと水が出る仕組みに改良されたものもありました。さらに、場所によっては非接触型の検温まで行われていました。出張時に新たに若干名感染の疑い(後日3名の感染が判明)が出ていたためか、関係者間の握手などは自粛されており、肘と肘をあわせながら「Ebola Timeだからね」と一言添えた上で挨拶がされていました。不便な状況でも不満を漏らすことなく、笑顔できちんと対応しているモンロビア市民を尊敬しますし、このような草の根活動が地道に続いたからこそ、リベリアが、シエラレオネやギニアに先がけて流行が沈静化し、エボラ出血熱流行の終息宣言※1の日を迎えることができたのではないかと思いました。

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平成26年度ノン・プロジェクト無償で調達した石油製品が納入される予定の港を視察するリベリア石油公社、通産省関係者とJICS職員
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モンロビア市内最大の屋内マーケット

※1エボラ出血熱流行の終息宣言について :最後の確定患者が血液検査で2回の陰性が確認された日、または安全に埋葬された日から42日間エボラ出血熱患者の発生がない状態を規準としてWHOが公表します。リベリアでは2015年5月9日に1回目の終息宣言が行われましたが、6月29日、リベリア保健省が感染者の確認を発表し、6人が新たに感染、うち2人が死亡しました。その後9月3日に2回目の終息宣言が発表されましたが、11月20日、モンロビア市の病院で新たに感染者が確認され、3名の感染が確認され、うち1名が死亡しました。なお、シエラレオネでは2015年11月9日に流行終息が宣言されましたが、ギニアはいまだ流行終息宣言が公表されていません。(2015年12月18日現在)

プロジェクト基礎情報

案件名 リベリア共和国向け緊急無償(エボラ出血熱対策)
供与額 3.8994億円
口上書(N/V)交換日
(政府間決定日)
2014年11月12日
調達代理契約(A/A)日 2014年11月19日
調達代理契約相手 在日リベリア共和国大使館
調達品目 個人防護具(防護服、マスク)、サーモグラフィー・カメラ、血中酸素計、ベッド類、病院用器材等
JICSの役割 本プロジェクトの調達代理機関として、上記品目をリベリア共和国のナショナル・エボラ・コマンドセンターに調達し、プロジェクト監理および資金管理も担当。
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